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雄大なスケールの男滝=南房総市荒川

[第4回]外野不動滝(上)(南房総市荒川)

前編 雄雄しく落ちる男滝

いくつもの滝が連なり、険しい流れを形成する場を連瀑、あるいは瀑布帯という。標高の低い山が多い房州では、そんな瀑布帯など存在しないと思う人もいるだろう。が、実際にはいくつかの連瀑がある。外野の不動滝(男滝・女滝)を主滝とする瀑布帯は、その代表格である。

坊滝(南房総市増間)を主滝とする増間川上流の連瀑に擬木が築かれ、林道から気軽に見物できるのに対し、外野瀑布帯は人の視線と隔絶した位置にある。それは下りるのが難しい県道の直下という、位置条件があるからだ。

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09年8月3日 8,725
2段に滑り落ちる道止滝

高い山のない房州にも、楽しい低名山(ひくめいざん)があること、火山帯のない房州にも、沸かし湯の温名湯(ぬくめいとう)があることは、過去の連載でお分かりいだたいたと思う。では、滝はどうだろう。標高が低い山ゆえ涵養される水分は少なく、全国の名だたる名瀑には及ばない。が、山や湯と同じように、静寂の中に流れ落ちる滝が数多く存在するのだ。この連載ではそんな房州の「寂名瀑」を訪ねてみる。山歩きと同じく、沢登りをする場所もある。危険が伴うので訪れる場合はくれぐれも十分な装備で。房州の梅雨明けももうすぐ。今夏の猛暑を美滝の写真と記事で楽しみ、少しでも涼しくなってもらえれば、と思う。(忍足利彦記者)

【原則として日曜日に掲載します】

[第1回] 道止滝・どうどめだき(鋸南町市井原)

県道下に2段の美滝

郡界尾根に源を発し、主要地方道鴨川保田線(長狭街道)を縫うように流れる保田川。この上流域に、2段の美しい流れを見せる。高さは5bほど、幅は滝つぼ上で10bほどある。水流の多いときは、幅いっぱいに広がる美滝である。

実は小紙連載「房州古道を往く」の平成19年7月28日付でこの滝を「市井原の滝」として紹介したが、大正15年発行の「安房郡誌」には、道止滝として掲載されている。道止滝が正解である。

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09年7月12日 9,695
急激な越の下の滝=鋸南町大崩

[第2回]乙井沢の滝 (鋸南町大崩)

ダム上流に秘めた滝

佐久間ダムは平成4年に完成した、佐久間川の源流部分を堰き止めた農業用人造湖。その佐久間ダムの上流に、隠れた名瀑がある。古い文献では「仏沢の滝」だが、佐久間ダム湖観光生産管理組合(石井廣一組合長)の現地の看板では、乙井沢の滝となっているので、本紙ではこれに倣(なら)おう。乙井沢(音井沢とも表記)はこの滝の近くにある家の屋号だ。

滝はそのままダム湖に流れ込むので、滝下に行くのは貸しボートを借りるしかない。上流から下るルートがあるが、極めて危険なのでベテランと一緒に歩きたい。

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09年7月21日 8,373
扇状に滑り落ちる宮田の滝

[第3回] 宮田の滝(鋸南町奥山)

観光コースになった滝

滝の定義について、国土地理院は「流水が急激に落下する場所」(公式ホームページ)とし、地図記号は「ふつうは高さが5b以上で、いつも水が流れている有名な滝や好目標となる滝を表示している」(同)としている。

宮田の滝は、乙井沢の滝の東側にあるナメ滝で、一部にコンクリート構造物がある。いつも流れはあるし、落差は5b以上あろう。扇状に広がって落ちる美滝だ。

上流部分は、かつて簡易水道の奥山水道組合の水源として活用されていた。コンクリートの構造物はその名残だ。現在は町営水道が敷かれ、この設備は使われていない。その人工感を差し引いても、観賞にたえうる滝である。

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09年7月25日 9,065
6段に落ちる主滝部分=南房総市上滝田

[第10回]沢山不動滝(南房総市上滝田)

深山幽谷楽しめる滝

長沢川の左股が本流となっており、平久里川水系の源流部分となる。この左股にあるのが、沢山不動滝である。現地看板では、棒滝と不動滝を合わせて「七ツ滝」としているが、流れが別になっているので、本連載では別の滝として扱いたい。

原稿と地図は前回を継続する形だ。

東屋橋のすぐそばに、東屋があるので、ここを先に進む。黄色いチェーンが渡してある。「この先危険」という意味だろう。川底へ下りるには鉄はしご(ステップ)を使う危ない場所もあるので、不動滝を眺めたい人は、上のつり橋からがいいだろう。ベテラン以外は近寄らない方が無難だ。

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09年9月14日 9,087
上流第1滝を行く

外野不動滝(下)(南房総市荒川)

荒々しい流れの女滝

承前。男滝はそのまま滝つぼを形成し、下流に流れ込む。男滝の上流右手にあるのが、女滝。不動滝のもうひとつの主滝である。河川の筋では、女滝が本流で、男滝は支流だ。

男が高みから落水するのに対し、女は低い位置の岩肌に沿って優しく落ちる。それでも流量は相当なもので、荒々しい流れなのは同じだ。何しろ、こちらが本流なので流れは多い。房州の「女」は、滝も人間も活発なのだ。

女滝は高さ10b、幅5bほどか。岩肌に沿って扇状に広がる。末広がりを思わせる美滝である。

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09年8月8日 8,879
美しく落ちる大滝=南房総市川上

[第6回]川上の大滝(南房総市川上)

名峰直下に潜む「十滝」

平久里川上流域から県道を岩井方面に向うルートが、主要地方道鴨川富山線(通称・二部街道)だ。北側が嶺岡山系、南側が富山の山塊にはさまれた細長い平地が続く。大滝は、嶺岡山系に近い奥に位置する。伊予ヶ岳西側直下、岩井川の源流にあたる場所である。

二部街道の川上青年館の角を北側に入る。コンクリートの道を上ってくと、右に分岐があるのでこちらへ進む。民家を左手に見ると、やがて正面に房州のマッターホルン、伊予ヶ岳が見える。

道路を右手に下るが、民有地なので断って降下したい。手前の赤道から下りる場所もあるが、上流に砂防堤が築かれ、遡行を邪魔する。何とか降下点を探したいところだが、案内人がいなければ諦めたほうがいい。

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09年8月17日 8,169
沢筋がそのまま滝になる=南房総市井野

[第7回]滝の沢(南房総市井野)

歴史ロマンの残る滝

富山地区には、川上の大滝のほかにも隠れた名瀑がある。伊予ヶ岳と富山という2つの低名山を抱え、涵養される水量も多いのだろう。滝の沢は、地元で「たいのさ」と呼ぶ隠れた滝だ。滝の沢はまた、この地の小字でもある。

主要地方道鴨川富山線(通称・二部街道)の伊予ヶ岳からの坂を下った先の平地が、井野集落である。井野バス停から北へ入ると、酪農家が点在する。左手に井野集会所を見て、この角を左へ進む。最後の酪農家が左手山すそにあり、この前に小さな沢がある。砂防堤があって地すべり対策地帯であるのがわかる。

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09年8月24日 7,444
美しく流れ落ちる二部の不動滝

[第8回] 二部の不動滝(南房総市二部)

富山直下に信仰の秘滝

これで外野不動滝、川上の大滝、井野の滝の沢と富山地区の滝めぐりをしたわけだが、同地区の滝はこれで終わりではない。主要地方道鴨川富山線沿いに、もうひとつ秘滝がある。

井野バス停から県道を西へ。森ヶ谷橋の手前に、南側へ入るコンクリート道がある。しばらく行くと左へ上る支道があるので、ここを左へ折れる。突き当たりにある小さな建物が「二部の不動堂」である。正確には荒澤山(こうたくさん)不動堂。神仏混淆(こんこう)の名残をとどめ、石宮は修験道のものという。

クルマでも入れるが、道が傷んでおり、道幅も狭く危険なのでどこか別のところへ止め、歩いた方が無難だ。

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09年8月29日 7,592
チョンチョン橋下の流れ

[第20回] どんどん淵の滝―どんどんぶちのたき―(南房総市千倉町北朝夷)

岩盤の清流に歴史ある滝 前編

川尻川は、千倉地区の山中を源流に、南千倉海岸で太平洋に注ぐ2級河川。房州の山のパイオニア、山口一嘉さんが「中流域に滝がある」と案内してくれた。

料理の神様として知られる、高家神社を右に見てそのまま道なりに進むと、消火栓のある交差点を過ぎる。100bほどでコンクリート橋となる。この橋をチョンチョン橋という。

房州では河川を飛び石で越えることを、チョンチョンぱねなどという。ここに架橋されるまでは、川底をチョンチョンぱねしたのだろう。橋の上流側に農業用の取水施設がある。川底に溝が切ってあって、2枚の羽目板を立てることで、水を導くシステムだ。

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09年11月21日 9,965
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