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金谷川の沢沿いの緑の中を歩く

B安兵衛井戸コース

鋸山は観光地のイメージも強く、登山ルートもある意味、観光地化している。いくつかあるうち、もっとも自然に近く山そのものを楽しめるのが、この安兵衛井戸コースである。金谷川沿いの沢を歩くことから、沢コースとも呼ばれ、近年、ハイカーに人気である。ワイルドだぜぃ。

富津市側から見ると、この鋸歯の山に登るには西から観月台、車力道コースが刻まれ、安兵衛井戸コースはその東側にある。他の2コースよりも長く、岩を登るような場所もあるから、ベテラン向けである。

金谷の市街地を抜け、関東ふれあいの道の標識に従って山へ進むと、JR内房線のガードをくぐる。右に折れれば、観月台、車力道コースだが、安兵衛井戸コースはここを直進する。いくつか標識があるのでこれに従う。

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12年7月28日 16,342
林道途中から見た鋸山

D林道金谷線

鋸山にはいくつかの登山道のほか、車両も通れる林道も走る。地図で見ると、富津市金谷から山に入り、山頂を中心にぐるっと回って鋸南町元名まで、弧を描くようなコースが設定されている。純粋な山歩きの道ではないが、比較的フラットで道幅のあるルート。今回はこの林道ルートを歩いた。

正式名称は「林道南房総金谷元名線」で総延長は8095b。富津・鋸南の境を峠に、両市町にまたがる県内屈指の林道である。

JR金谷駅からスタート。駅舎に掲げてある駅名看板が、鋸山デザインになっている。JRもしゃれたことをするものだ。市街地を歩いて金谷踏切を渡る。正面が真言宗智山派の名刹、金華山華蔵院。小林一茶が逗留した寺院である。しばらく行くと、道端の男性が「山へ行くようだが、ルートが違っていないか」と声をかけてくれる。林道ルートを登る人は珍しいのだろう。事情を説明して別れる。

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12年8月11日 12,093
開通記念碑のある林道峠

E林道元名線

林道峠は関東ふれあいの道との合流点でもある。ここから尾根を通って東の肩まで約20分。その先は「登山編C関東ふれあいの道」で紹介した尾根ルートになる。

開通記念碑の裏には、この工事の概要が刻まれている。着工は昭和58年(1983)、完成は平成9年(1997)。14年の歳月をかけて、この林道を開削したのである。林業にはもちろん、こうしてハイキングにも役に立っているのだ。

東の肩に行くには「鋸山山頂 1・4`」の標識に従って杉林の中を歩けばいい。東の肩に行かず、下っていくルートが、林道元名線である。こちら側の管理は鋸南町であり、下りの快適な林道コースになる。

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12年8月20日 10,706
巨大な吹き抜け洞窟

G壁際コース

林道を含めて7本の登山道を書いてきたが、もうひとつ興味深いルートを紹介しよう。

とはいえ、ガレ場もロープ場もある荒れた難コースで、上級者向けだ。道標もなく、ビニールテープを頼りに登るような難所である。実際にマムシも確認されているので、一般の人は立ち入らないほうがいいだろう。

コースは車力道から上り、石切りの絶壁の手前を東に向かう。絶壁の壁際まで歩いて、旧テレビ塔の西側尾根に出る。尾根に出れば、そのまま関東ふれあいの道だが、車力道から尾根までのルートがこの壁際コースである。

金谷の街を歩いて出発。車力道に取り付く。ここまでで20分。車力道は石畳の快適なルートで、展望のきく場所で一度休憩しただけで、鼻歌気分で登っていく。

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12年9月3日 10,931
湾曲した美しい石段カーブ

忘却の石階段ルート

いくつもある鋸山登山ルートで、もっとも古いにもかかわらず、人々の記憶から忘れられているルートがある。金谷の観光マップにも記載がなく、金谷側でもこのルートを知る人も少ないのだろう。忘却の登山ルートである。

では、道が荒れていて、登れないのかというと、否である。石の階段が続く快適ルートで、なぜこの道がマップに記載されていないのか、不思議でならない。

スタートはロープウエーの山麓駅近く。金谷神社から山麓駅に入り、左に駅と駐車場を見て直進する。勾配のあるアスファルト道路を「ロープウエー第2駐車場」の看板に沿って歩く。

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12年8月25日 11,703
苔むす石群の中の庚申塚

A表参道エリア(下)

表参道エリアのつづき。

<庚申塚>

仁王門の右に、苔むす石群がある。見ざる言わざる聞かざるの三猿が浮き彫りにされている板碑形の庚申塔。

中国の道教の影響を受けた民間信仰で、庚申の夜、三尸の虫が体内から抜け出し、天帝に悪事を報告する。このため、庶民はその夜を寝ないで過ごした。石の側面には「寛文五年」(1665)の文字がある。

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12年10月1日 10,567
鋸山の一等三角点

H三角点と菱形基線測点

登山愛好家、ハイキング愛好家にとって、三角点は特別な存在だろう。犬も歩けば棒に当たる、ハイカーが歩けば三角点に当たるのである。

三角点は、国土地理院が設置する三角測量の基点である。三角形の一辺の距離と二角の角度を知ることにより、他の二辺の距離を計算で求めることが出来る。これが三角測量である。現在はGPS(全地球測位)で正確な地点が求められるが、明治以降、正確な地図をつくるため、全国を三角測量して、三角点が置かれていった。視界のいい測量点が求められるため、目立つ山頂に置かれたのである。

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12年9月8日 11,584
ロープウエーから見る白亜の建物

房I鋸山地殻変動観測所

前稿の「H三角点と菱形基線測点」に関連する項目なので、「登山編」で取り上げたいのが、この地殻変動観測所である。

ロープウエーの策道下にひっそりとたたずむ白亜の建物とその近くにある観測坑がそれである。所管は、東京大学地震研究所。

房総半島と三浦半島の地殻変動を観測し、この地域で起こるであろう地震を予知しようという重要な施設である。同研究所が昭和22年(1947)に、三浦半島側は油壺に設置。房総半島側は、昭和34年(1959)に、安兵衛井戸コース途中の崖面に観測坑が設置された。両観測所の距離は約20`。地殻変動を比較観測している。

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12年9月15日 12,273
民家の前に立つ無字門

@表参道エリア(上)

鋸山といえば、日本寺。日本寺といえば鋸山。聖武天皇の勅詔を受けて、行基によって開山された関東最古の勅願所である。正式な山号は乾坤山。寺号に国名がつくのは、「日の本の寺」ということで、それほど歴史の古い寺院という証拠だ。

郡界尾根の南側、鋸南町元名一帯の広大な敷地に、日本一の磨崖大仏、百尺観音、千五百羅漢などが点在する。全山見て歩くには、一日では終わらないというから、スケールは大きい。

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12年9月22日 10,929
元名の砂浜に埋まる黄金石=鋸南町元名

黄金5000貫を運んだ石船?

明鐘岬は、安房と上総を分ける郡界尾根の西端、急峻な尾根が東京湾に落ちる部分である。国を分ける著名な岬とあって、昔からさまざまな伝説も残る。明鐘編は、この岬に関する事象と、登山編、日本寺編で扱わなかった部分を取り上げよう。

黄金石は、国道127号元名第2トンネルの南側の直下の砂浜にある。砂の中に埋まった石だが、これが岩盤なのか、単独の石なのかは、いまだに不明である。ただ黄金石と言い伝えられた話もあるから、ここは石であることを前提に話を進める。

ではその話から。

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12年12月3日 10,126
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