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美しい鋸山の三角錐姿

【第6回 初日終え小保田へ下山】

(6)下貫沢へ出る

この尾根道で再び、富津・鋸南の市町境の境界杭が始まる。地図で確認すると、やや南東方面へ向かう尾根筋である。新しい尾根に入って30分ほど歩いたところで、露岩の峠に出た。ここからの南側の景色がまた絶景である。巨大な緑が目の前に迫る。ここで川崎さんが「ここは景色見納め峠です」という。

ここから先は樹木の中を行く尾根ルート。しばらく景色は期待できないらしい。

アップダウンを繰り返しながら、尾根を行く。景色見納め峠から15分で、無名のピークに。手持ち腕時計の簡易高度計は標高230bほどを示している。ここが地形的に分岐点となっていて、迷う場所だ。まっすぐ進むとまったく違う山へ行ってしまうという。嵯峨山方面に行くには、急な傾斜を左に下る。

斜面を降り、木の根が浮く尾根道をしばらく行くと、急に開けた谷に出る。無名ピークから10分。ここに東京電力の黄色標柱「内房線110号に至る」が出て、これに従って、急斜面を登っていく。

これから目指す嵯峨山

ここまでで、スタートから5時間。疲労が足に来た。右ヒザも関節痛を訴えている。が、何とか気を取り直して登る。やがて平坦部に出て、東電の高圧線鉄塔が姿を現す。ここで小休止。他の皆さんは元気だが、記者(忍足)はさすがにバテ気味である。この場所は地図で標高220bほど。かつては南側の視界があったというが、現在は樹木で何も見えない。

休憩を終えて、出発。ここからも市町境の尾根筋である。15分ほどで、下貫沢への分岐になる。この分岐道は尾根より低くなっていて、明らかに道だと分かる。2万5000分の1地図では、破線の扱いだから、立派な峠道なのである。この尾根をまたぐように、破線は南北に伸びる。北へ行けば富津市の釜ノ台へ、南へ行けば下貫沢経由で鋸南町小保田へ出る。かつては人々の往来もあったのだろう。山の集落の人が海に出る、あるいは街中に出るには、必ずここを歩いたはずだ。

いまは、すっかり荒れていて、トージの落ち葉が厚く積もる。壮大な長尾根縦走1日目は、ここで終わる。一行はそのままこの地図破線道を下って、小保田へ降りた。山を降りると、スイセンピークがのしかかるように、見える。スイセンシーズンには、大勢のハイカーがここを歩くのだ。

(つづく)

【写真説明】美しい鋸山の三角錐姿

【写真説明】これから目指す嵯峨山

08年1月10日 20,369
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