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集落入口の高札風看板

【第11回 獣に道を教えられ】

(11)八丁山へ

土の道を歩く。轍(わだち)があるので、車も通るのだろう。2万5000分の1地図にも載る、立派な林道である。

横根からの郡界尾根はいく筋にも支尾根があって、山が険しい。富津・鋸南の境は横根峠で、長狭街道に出っ張るような形で、南側に張り出している。その出っ張りの南端が富津・鋸南・鴨川の3市町境の津森山である。この林道筋の尾根は、津森山と対峙するような形で、東西に伸びる。長狭街道の北側がこの八丁山尾根、南側が津森山尾根なのである。

軽トラックも走れる幅のある林道を歩く。少し上り気味だが概ねフラットである。この林道の途切れた場所に、大きな檻(おり)わなが設置してある。設置者表記は富津市内の人。このわなの先は、道はあるもののやぶになっていて、ここで少し迷う。

八丁山の三等三角点ピーク

川崎さんがやぶこぎしながら道を探すが、どうにも道らしくない。わなのすぐ右手の潅木の中に、イノシシの歩く獣道があって、こっちが八丁山へのルートだった。獣に道を教えられ、である。

ここからしばらくは道なき道をいく難ルートである。ときに倒木がゆく手をふさぎ、ときにきつい斜面を手探りで登っていく。2万5000分の1地図には破線で道が示してあるが、実際には尾根筋のやぶ道である。先登者のビニールテープも乏しく、おそらくは何年も人が歩いていないのだ。

木の根をつかむような道を登って、ようやくピークに到着する。志駒川の県道から1時間20分。ここが八丁山(標高308・5b)の三等三角点ピークである。三角点名は「山中」で、所在地は富津市山中。頂は10坪ほどの広さがあるが、三角点と国土地理院の標柱以外は何もない。周囲は雑木と杉で眺めもない。横根から金束間の郡界尾根では最高標高なのだから、樹木がなければ、眺望も良かろうに。残念なことだ。

この八丁山までの上りルートが難所で、たどり着いた川崎さんも安堵の表情を浮かべる。何しろ、道なき道を這い上がったのだ。ここまでで本日のコースの8割が終わる。後は中沼を経て引越へ向かうだけだ。元名で汲んだ海水を、少しだけ山頂にまいた。長屋根ルートはまだまだつづくのだ。 (つづく)

【写真説明】集落入口の高札風看板

【写真説明】八丁山の三等三角点ピーク

08年1月16日 19,439
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