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愛車を前に錦織淳志さん

O錦織淳志さん

組織としての鋸山ロープウエーで忘れてならないのは、若いこの錦織淳志さん(29)だ。

知る人ぞ知る、痛車(いたしゃ=アニメの絵、キャラクターなどを描いたオリジナル塗装車)のオーナーで、総務担当の社員である。愛車・ホンダフィットの4面にアニメ「インフィニット・ストラトス」のヒロインのひとり「セシリア・オルコット」を描く。

運転席側に指をさすポーズの表情と「いざ、頂上へ!!」、助手席側は目を閉じた表情で「鋸山に決まってるじゃない!」のコピー。フロントボンネットにもキャラクターが描かれ、天井にもある。

このクルマで地元・金谷から通勤している。「よく会社のクルマですかと聞かれるけど、正真正銘、自分のクルマです。会社からは一銭も出ていません」と錦織さん。

ボンネットにもステッカー

金谷生まれの金谷育ち。中学・高校が志学館で、群馬大学へ進み、民間病院の医療事務の仕事に就いた。内科外来の受付。金谷から姉ヶ崎まで通うのが大変で、転職を決意した。1年間、新しい仕事を探したところ、鋸山ロープウエーから求人が出た。子どものころから慣れ親しんだ会社だ。「もうこれしかない」と飛び込んだ。

東原光陽社長の出向より1年早い、2009年(平成21)5月の入社。「歩いても来られる職場」で、水を得た魚のように働く。職名は「駅務係員」で、総務・庶務全般をこなす。「小学校の遠足でもロープウエーを使って鋸山に登った。地元なので、ほかの社員よりも強い愛着を感じる」と、ロープウエーへの熱い思い入れを語る。その思いを昇華させたのが、痛車なのである。

入社して給料とボーナスをはたいて、2011年(平成23)9月に白のフィットを新車で購入。20万円を投じて、車体4面にオリジナルステッカーを貼った。知り合いにエアブラシの塗装職人がいたので、すべてを依頼した。

最初にこのクルマで通勤したとき、まず先輩から言われた。「いったいどうしたんだ」と。信号待ちで小学生がじっと見入り、「おー」と声を上げる。指をさす人もいる。高い注目度にも「いまはもう慣れましたけど」と冷静だが、好きなアニメで鋸山の宣伝をすることを、心底楽しんでいるようだ。

天井にはセクシーショットが

記者(忍足)も、最初に取材で鋸山ロープウエーを訪れたとき、駐車場にあるこのクルマを見て、会社の宣伝車と思ったほど。東原社長に確認すると「純然たる個人の車。会社は関知していない」と言われ、若い錦織さんを紹介された。実直そうな青年だった。

このフィット、社員の駐車スペースに止めてあるが、ゴンドラから屋根面が良く見える。セミヌードのセシリア・オルコットを上空から見た客が歓声を上げる。

こんな楽しい社員がいる会社である。鋸山ロープウエーは安泰だ。

【写真説明】愛車を前に錦織淳志さん=鋸山ロープウエー駐車場

【写真説明】ボンネットにもステッカー=同

【写真説明】天井にはセクシーショットが=同

13年5月18日 17,450
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