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岩テラスの上で小休止。北側の景色がいい

【第21回 鍋石分岐へ】

修行めいて清澄山系

大トレッキングの旅もこれが5日目。尾根の中間点を過ぎ、いよいよ行程は清澄山系に入る。古くは日蓮が開宗し、近年でも空手家が修行した地でもある。長い尾根歩きは、いよいよ修行めいてくるのだ。

スタートは、鴨川有料道路わきの旧道から。露岩の山肌を急登する。ところどころにトラロープが渡してあるので、助かる。スタートから15分で、小さなピークになる。ここが閉鎖された旧道トンネルの上だ。ここから北東方面に尾根を進む。

きつい上りを行くと、やがて地図の標高262b点に。このピークから南側の景色が素晴らしく、しばし見とれる。だが山頂にまでヒノキが植えられ、やがてこれが伸びれば視界もなくなるに違いない。ハイカーとしては残念である。

262bピークから先は急な下り。木につかまりながら、慎重に下る。早くもアップダウンが始まり、険しい尾根が続くが、ルートはピークを巻くように配置され、最初のうちは凸凹も穏やかである。小さなピークを左右に巻いて進む。上から見れば蛇行しているようなルートである。

ロングハイキングコースの道しるべ

スタートから50分で、鍋石(なべし)への分岐尾根となる。地図に載るような道ではないが、尾根筋があってこのまままっすぐ進めば、鍋石へ降りてしまうという。難しい分岐点で、杉の木に赤い布が巻いてある。注意せよという意味なのだろう。川崎さんの案内で右に折れて、少し下る。

V字谷のような底を過ぎ、きつい上りになる。岩尾根を木の根につかまりながら、三点支持で慎重に登る。きつい上りの連続に「なぜ、俺がこんなことをしているのか」という思いがふと頭をよぎる。社にいれば、暖房の部屋でパソコンのキーを打っていればよろしい。なのに、なぜ俺がこの岩を、という疑念である。修行だよ、先頭からそんな声が聞こえる。開宗の山系なのだ。こうやって苦行しているのも、自分自身への修行なのだろう。自らにそう納得させてさらに登る。

やがて、大きな岩テラスに出る。ここから北側の景色がいい。眼下の谷からケヤキが立ち上がり、美しい姿を見せる。ほんのり黄色に色づく葉。険しい道を歩いた者だけが見られる景色かも知れぬ。

岩テラスで小休止し、出発。やせ尾根を歩く。両側は切り立った崖である。いくつかのアップダウンをこなし、V字谷をあがると、そこがロングハイキングコースの合流点だった。

看板は「元清澄」「鍋石」の道しるべになっている。内浦山県民の森―清和県民の森間のロングコースの分岐である。ここから先は、正規のハイキングコース。ようやく人の気配が出てきた。

(つづく)

【ハイキングガイドではありません】

【写真説明】岩テラスの上で小休止。北側の景色がいい

【写真説明】ロングハイキングコースの道しるべ

08年1月29日 18,578
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