企画・エッセイ » 記事詳細
巨大なタブノキと石宮

山中激歩連載【第12回】

(12) 天王様から丸郷神社へ

遠藤トンネル上空を過ぎ、しばらく行くと巨大なタブノキが現れる。この根元に2つの石宮が安置する。宮は東側の前田集落を向いているので、同地区の信仰の対象だったのだろう。サカキはもちろん、注連飾りもないので、かなりの期間、誰も訪れていないことになる。草が生えていない分、寂しい気がする。

タブの巨木から5分ほどで、123bのピークとなる。ここが三峰山である。ピークには「三峰山」三等三角点が置かれる。この三角点ピークから西に伸びる枝尾根に、巨岩がある。石宮が3つ。大きな石屋根が見事である。ここにも一辺3bの正方形の深い穴がある。太平洋側の123b峰だ。戦時中に、ここになんらかの軍事施設があり、米軍と対峙していたのだろう。大峯山の穴と同じく、ここに落ちたらまず這い上がれないだろう。

この巨岩ピークの枝尾根から北西方向の眺めがいい。北に二反森(標高220・8b)、西に海老敷金比羅山(同208・5b)の2つの峰が眺められる。すぐ下は山名の集落である。

さらに尾根筋を北に行くと、嵯峨志集落と根方集落を結ぶ平沢トンネルの上に出る。そのトンネルの上に、地元で十三塚と呼ぶこんもりとした盛り土がある。標高は113b。

地元の言い伝えによると、この山で昔、山賊を退治し、ここに埋めたという。地元では家に病人が出ると、この塚に祈願すると快癒するという伝説があるらしい。

石切り場跡

十三塚から10分で、石切り場のような場所になる。道から斜面を嵯峨志側に下ると、間口十数bの大きな口を開けた苔むした岩場が突如現れるのだ。

石を切ってあるのだが、何のためかは不明だ。戦争遺跡なのか、もっと古いもものなのか。内部は湧き水がたまり、鋸山の石切り場のような感じだ。同じような跡が北側にもあるが、こちらは途中で諦めたのか、埋まってしまったのか、南側ほどの規模ではない。

道に戻り、北を目指す。しばらく行くと、木々が伐採された小さなピークになる。ピークには丸山町時代の地籍図根多角点が置かれている。国土調査の基準点となるものだ。この多角点のために周囲が伐採され、この尾根道で唯一明るい場所となっている。

尾根ルートを左に折れると、そこが富士大神を祀った場所だ。富士講のものだろう。明治18年の銘とヤマザクラの花を配した彫り込みがある。すぐ近くにはトタン屋根の小さな石宮もある。

竹林を抜け、シダの海を割って下ると、突如、巨大な神社が出現した。これが丸郷神社である。

(つづく)

【写真説明】巨大なタブノキと石宮

【写真説明】不気味な大きさの石切り場跡

07年7月16日 56,524
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved