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立派な八幡神社本殿

山中激歩連載【第22回】

(22)ジェノバから滝へ

ジェノバはちょうど峠に位置し、ここから北へ向かう道は、長い下りである。長狭街道からこの店を目指すときは、長い上りだ。

アスファルトの下り坂を下りる。そのまま道なりに下ると、左への分岐がある。ここを登ると、右手に豚舎があり、さらに登ると何軒かの民家が出る。民家を過ぎて右に折れてさらに下ると、八幡神社となる。

奥の拝殿に飾り窓のような彫り物がある。本殿も大きなつくりで、境内には巨大な杉の木があって、注連縄が巻かれている。その奥には富士講の石碑もある。管理もしっかりされている立派な神社である。

神社の階段を下りて、保田川に架かる「神社橋」を渡る。渡ったすぐ上が、県道鴨川保田線、通称・長狭街道である。黒潮洗う白浜城跡から、歩くこと6日目。房州古道の旅は、房総半島横断道へと、ようやくたどり着いたというわけだ。

落差はないが美しい「市井原の滝」

自動車が走る長狭街道を10分ほど歩くことになる。この房州古道の中で、もっとも長く歩く車道になる。大崩から八幡神社までは鎌倉古道然としていたが、さすがに自動車が頻繁に行き交う道は、古道とはいえない。が、しかし、古道はあちこちで分断され、現在の車道になっているのだ。ここはがまんして、右側路肩を歩く。

長狭街道を東へ向かうと、左カーブの手前の右側の水田内に、石の塚がある場所がある。これが上人塚と呼ばれている石積みである。この特徴的な水田の先に、水の落ちる音がするので、川面へ降りてみた。

保田川で唯一の滝だという。2段になった岩肌を白く流まつが落ちる。これより少し上流には、もう1段の段差があるので、都合3段の滝なのだろう。落差は4bほどか。国土地理院の基準では、落差5b以上を滝と呼ぶそうなので、ここは正式には滝とは呼べないのだろう。だが、保田川水系で唯一の滝なのだ。せっかくなので「市井原(いちいばら)の滝」とでも呼ぼうか。

滝の音を聞きながら、さらに東へ。右にリサイクルショップがある場所を、左へ折れ、山へ分け入る。電柱に「ヘルシースポット」と看板がかかっている。その角である。

山側へ入ってすぐ、左の少し高い場所に、石碑群がある。この道はかつてはもう少し高い位置にあって、工事で路面が下がっている。路傍の石仏も実際にはこんなに高い位置にはなかったという。

川崎さんが、石碑群まで法面をよじのぼる。光明真言の石碑は真っ二つに割れ、針金でしばってある。出羽三山石碑、観音などぜんぶで9つの石碑がある。

ここから瀬高(せだか)の集落を経由して、保田見(ぼてみ)峠へ向かう山道こそが、安房と上総を結ぶ鎌倉古道である。6日間の山中激歩も、いよいよ最終局面に向かう。

(つづく)

【写真説明】立派な八幡神社本殿

【写真説明】落差はないが美しい「市井原の滝」

07年7月27日 76,179
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