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豪快に落ちる第六天の滝左股の流れ

[第21回] 第六天滝(鴨川市東江見)

冬場に美しい男女滝

インターネット上には「大六天滝」の文字も見えるが、正しくは第六天滝だろう。「第六」の「天滝」ではなく、「第六天」の「滝」なのだ。広辞苑によれば第六天とは、多くの眷属(けんぞく=従者)を率いて仏道の妨げをなすことから、第六の魔王といわれる。他化自在天(たけじざいてん)ともいう。

滝の名にしては珍しいだろう。滝上の道端にそれらしい石宮がある。これが第六天を祀っていて、その下の滝ゆえに第六天滝か。

曽呂から天面方面経由で南の九頭竜稲荷方面へクルマを走らせると、右に横根第2送水ポンプ場がある。この反対側を歩いていく。左手に民家を見て進むと、右手に取水口がある。滝上にからずっと続くU字溝に流れて滝上で取水し、下流の農地へ送っている。夏場の農繁期には、この本流を羽目板で止め、左岸側に流す。滝上は人工の溝が切ってあって、流れは左岸へいく構造になっている。

このU字溝沿いに歩く程度の幅のある道があり、そのまま歩を進めると、右手下に川の流れが確認できる。川底へ下りる道があるので、ここを下ると正面が第六天滝である。

滝つぼは広く、どことなく心字池のような形だ。高さは8bほどか。滝は道下ですぐ二股となり、左股は豪快に扇状に広がって落ちる。右の流れは2段の一条となって滝つぼへ落下する。左股が男滝で、右股が女滝か。右股は途中で段差をつくり、樹木の向こう側に落ちていく。岩肌には硫黄が2筋になって落ちている。

2段の一条で落ちる右股の流れ

実はこの滝、2009年7月に訪れた際は、農業用に取水されていて、左股(男滝)の落下はなかった。滝を正面から見ると、右股の細い流れ(女滝)だけだったのである。冬場に再訪し、その仕組みが分かった。羽目板がないときは、本流はそのまま左股になって落ちる。余水は右股の細い流れとなるのだ。取水されると左股が消えるのである。

広い滝つぼだが、惜しむらくは手前に樹木が多いこと。滝見物には少し邪魔である。滝ファンのために木を切れというのは無理な相談だが、もう少し周辺が整備されれば、名所となろう。

房川は小さな流れだが、3つもの滝を形づくり、太平洋へ注ぐ。房州の地形は浅いが、奥は深い。

【写真説明】豪快に落ちる第六天の滝左股の流れ=鴨川市東江見

【写真説明】2段の一条で落ちる右股の流れ=同

10年11月13日 6,025
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