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雨上がりは豪快な姿を見せるタイの下の滝

[第23回] タイの下の滝(したのたき 鴨川市天面)

ミニ名瀑≠フ趣の滝

滝の世界は奥深く、ウェブサイトにはたくさんの滝紹介ページがある。それぞれが調査に入念で、趣も深い。そうした滝ファンは、房州の小さな滝にもアンテナが張られている。実に敏感なのである。

鴨川市曽呂地区から七曲トンネルを抜け、江見方面へ抜ける道がある。車道が天面に入ったあたりにある、小さな滝がタイの下の滝である。ほぼ無名の滝に近いが、タイの下は「滝の下」の意だろう。車道下から広がって落ちるミニ名瀑≠セ。この滝も、詳細に紹介するファンがいる。

車道東側に2つの石塔がある。左側が牛頭観世音塔、右側は大日如来である。明治2年の銘が刻まれている。この石塔の反対側に小さな流れ込みがあり、瀑音がするので、車道上からも滝があると分かる。

道の下には田が1枚ある。農地を踏まないよう、注意して斜めに川へ下りる。滝の下流はいわゆる3面コンクリートで、幅は3bほど。川底へ下りると、正面が小さな飛瀑となっている。

滝を語る大木宗二さん

それでも高さは6bほどある。雨上がりには、扇状に広がって落ちる。中ほどに岩が突き出ていて、ここで流れは二股になっている。水量の少ない日には、左が小さな一筋の流れ、右はやや広がって糸状に落ちる。滝つぼは円形で広く、水深はそれほどない。

滝の近くに住む、農業、大木宗二さん(89)に話を聞けた。開口一番「第六天滝、鹿嶋滝と(房日に)載ったから、ここも取材に来ると思った」。大木さんの住まいは滝の上にあり、周囲の小字は「横根」である。滝の下一帯を昔から「タイの下」と呼んでいるが、小字ではないという。そばにある取水設備は、下流域の畑のかんがい設備。豊かなこの滝は近くの畑を潤しているのだ。

七曲トンネルは1994年の完成。それまでは、曽呂方面に出るのは文字通り「山の上の七曲を歩いた」と大木さん。江見方面に出る道もせまいが、牛頭観音が鎮座するのは、ここが街道であった証左だ。

滝は江見漁港東側で太平洋に注ぐ、房川の上流域にある。小さな流れではあるが、この川にはこの滝を含め3つの滝が存在する。房州では貴重な水流なのである。

鴨川地区に滝多し、侮れない。

【写真説明】雨上がりは豪快な姿を見せるタイの下の滝=鴨川市天面

【写真説明】滝を語る大木宗二さん=同

10年11月27日 5,638
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