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先日、テレビをつけたらフォークソングの特集のような番組をやっていました。懐かしくてツイ見てしまいました。

私は若い頃、「フォークソング」という言葉がよく聞かれるようになった時に、いったい「フォークソング」とはどういう音楽なのかと疑問を持ったことがあります。直訳すると「民謡」となるのですが、どう考えてもそれまでの私の頭の中にある「民謡」の概念とはかけ離れたものでした。

現在の辞書にはどの様に規定されているのかと思って明解国語辞典を開いてみました。すると、「@民謡。Aアメリカで生まれた民謡風のポピュラーソング。ギターなどの弾き語りで民衆の生活や感情を歌ったもの。フォーク」と記載されています。おそらく後者の意味でフォークソングという言葉が使われているものと思います。ちなみに、英英辞典ではsong originating from and passed down by the common people of a country or regionと記載されていました。

私(1949・昭和24年生まれ)が20歳前後であったころには、高石友也が「受験生ブルース」を歌っていて、彼はフォークシンガーと言われていました。外国人ではジョーン・バエズがよく知られていて、反戦歌が多く、反戦の意思表示をするのもフォークソングか、と思っていました。テレビドラマで流行った「若者たち」の主題歌もこのジャンルに入れてよいものだと思います。まだ貧しかった戦後の日本社会の中で、希望を失わず力強く生きていこうとする若者たちの姿が描かれていました。「君の行く道は果てしなく遠い」で始まり、それでも若者たちが歯を食いしって頑張っていく内容の歌詞でした。最後は「君は行くのか、そんなにしてまで」でしたね。今も口ずさむことができます。今でも胸が締めつけられるような感動を覚えます。あーーー、涙が出てくるなーーー。

1960年代から70年代の私の青春時代に流行っていた歌は、どんな歌を聴いても感激します。とりわけフォークソングと呼ばれる種類のものは、そのときどきの若者たちの主張と関係した曲が多く印象深いです。ジローズの杉田二郎達が歌っていた「戦争を知らない子ども達」も、当時「新人類」のように言われていた私達の世代の心情をよく表現したものでした。今で言う私達団塊の世代のオッさん達も「戦争が終わって生まれた」子ども達だったのです。戦争を知らずに育った私達は、その頃の大人達から見ると、なんとなく理解しがたい違和感をいだかせる人間達だったのです。だからこそ、平和の歌をくちずさみながら、「僕等の名前を覚えてほしい、戦争を知らない子供たちさ」と主張していたのです。

いつの時代にも新人類が現れ、新しい歴史を作っていくのですから、「今の若い連中は……」という愚痴をこぼさない大人でいたいと思います。ところで最近作られたフォークソングというのはあるのでしょうか。さだまさしの曲なんてかなり新しいように思いますがどうでしょうか。

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加納宣康 昭和24年8月4日岐阜県生まれ。現在、亀田総合病院特命院長補佐、主任外科部長、内視鏡下手術センター長、マハトマ・ガンジー・メモリアル医科大学名誉客員教授、帝京大学医学部外科学客員教授

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

08年2月12日 12,728
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