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定健診・保健指導(メタボ健診)が今年4月から始まりました。

判定基準の問題でいろいろ議論がありましたが、とにかくスタートしたのです。

国の意気込みが伝わったのか、国民健康保険を運営する市町村の8割以上が、財政負担覚悟で保健指導を無料化して実施率(受診率)向上に躍起になっていることが、読売新聞の調査で明らかになりました。

しかし、国が目指す医療費削減や生活習慣病予防の効果に疑問の声は消えず、これからも紆余曲折が予想されます。

運営主体の地方自治体により多少の差があると思いますが、一般的には、腹囲測定と血液検査などの結果をもとに、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)か、その予備軍と判定されると、保健師などから食事、運動などの生活習慣を見直す「保健指導」を最大6か月間受けることになります。自治体の健診およびその後の指導の費用負担も大変なものでしょう。

国は、4年後の2012年度末までに健診と保健指導の実施率を、それぞれ65%、45%にする目標を掲げていますが、大変高い数値目標だと思われます。おそらく市の担当者は「簡単に達成できる数字ではない。困ったな」と思っていることでしょう。

メタボ健診は40〜74歳の5618万人(厚生労働省推計)が対象となっています。医療費が増える75歳以上の「後期高齢者」になる前に病気を予防し、医療費を削減するのが最大の狙いなのです。しかし、「制度が複雑で分かりにくく対象者への周知が徹底しない」と悩んでいる市役所職員もいることがいくつかの報道で分かっています。国の描く生活習慣病予防と医療費削減に結びつくか疑問の声を上がっているとの報道もあります。

しかし、国の方針は徹底しており、健診や保健指導の実施率などが目標数値に達しなかった場合、国は後期高齢者医療制度への負担金を最大10%増額させるペナルティーを科すことにしています。なんとも恐ろしい脅しがついているのです。

実施にあたり、自治体に負担がかかり、判定基準の議論を残したままでスタートしたこの制度ですが、国民にとりひとつの目標ができたことは間違いないですから、これを自分で健康管理をするきっかけにすれば、それなりの効果があったと言えます。決まってしまった以上、少しでも前向きに捉えるべきでしょう。

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加納宣康 昭和24年8月4日岐阜県生まれ。現在、亀田総合病院特命院長補佐、主任外科部長、内視鏡下手術センター長、マハトマ・ガンジー・メモリアル医科大学名誉客員教授、帝京大学医学部外科学客員教授

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

08年5月19日 23,356
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