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自治体職人の皆様、お疲れさま

6月3日の本欄で、後期高齢者医療制度の迷走に関して危惧を表明致しました。その際に、「厳しい世論の目と野党の攻勢にあって、政府・与党は大あわてで制度の見直し作業に入りましたが、負担増になる高齢者の救済策として、バラマキのように幅広い減免措置を検討しているばかりで、根本的な解決に近づいているとは思われません」と書きました。

その後の経過をみているとその傾向はさらに強まっていくように感じます。

厚生労働省が6月4日発表した同制度の保険料推計調査で、低所得世帯ほど負担増となった割合が高いことが明らかになりました。そうすると国会では新制度を維持したい与党が保険料負担の軽減策を矢継ぎ早に打ち出してきました。この軽減策というのは先に私が危惧を表明した「負担増になる高齢者の救済策として、バラマキのように幅広い減免措置を検討している」に相当します。これをいよいよ実行しようというわけです。

一方、野党は参院に廃止法案を提出、わずかな審議を行っただけで6月5日、厚生労働委員会で与党欠席のまま可決してしまいました。こういう光景をみていると、政府も国会議員も、国会日程や選挙ばかりに気を取られていて、肝心の高齢者医療制度の是非をめぐる本質的な議論を十分にする気がないのではないかと思えてきます。

私が最近思うのは、政府の方針がつぎつぎと変わっていく中、今まででも高齢者への説明が不十分であったと非難されているのに、朝令暮改の速い政策変化に翻弄される自治体職員が、複雑化する一方の仕事にいったい耐えていけるのか、ということです。高齢者国民に直接応対するのは、政府の役人や国会議員ではありません。各自治体の職員です。新制度を彼等が必至に勉強してやっと理解して説明できるようになったと思ったら、次から次へと制度が変わっていくのですから、たまったものではないでしょう。いわゆる「切れてしまう」職員も出て来るのではないでしょうか。

我々国民は、最前線で苦労させられている自治体の職員の皆様の苦しい立場も理解してあげる心を持つべきだと思います。彼等彼女等も、老祖父母や高齢の両親を抱えて苦労しているのです。医療従事者が一般の国民と同様の確率で患者になり、年老いた家族と病気の家族を抱えているのと同様です。政府、政治家の無策に振りまわされて、国民同士がいがみ合うような愚かな行為をしてはなりません。

08年6月16日 15,746
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