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最近数か月のうちに、貴乃花部屋の力士が暴行を受けたと思ったら、次には、その部屋の力士が暴行を働いたり、大砂嵐問題が浮上したりと、さまざまな大相撲界の問題がマスコミで面白おかしく取り上げられ、読者および視聴者側はかなり食傷気味でしたが、最近は土俵上での「女人禁制」に関する報道が注目されています。

どれをとっても、大相撲界よ、いい加減にしてくれよ、目を覚ませよ、と言いたくなります。

兵庫県宝塚市で2018年4月6日に開かれた大相撲春巡業の宝塚場所で、同市の中川智子市長(70)が地元市長としてのあいさつの際に土俵に上がることを要望したが、認められなかったといいます。中川市長は土俵の下であいさつし、「女性という理由でできないのは悔しい。伝統を守りながら、変革する勇気も大事なのではないでしょうか」と呼び掛けたと報じられました。私は同市長の意見に同意しますし、応援したく思います。

4月6日の朝日新聞は以下のように報じてします。

中川市長によると、昨年4月にあった宝塚場所でも土俵の下からあいさつするように求められ、当時は「そういうものか」と思って受け入れた。だが、今月4日に京都府舞鶴市であった巡業で、男性の市長は土俵に上がっていることを知った。5日に主催者側に土俵上でのあいさつを求めたが、日本相撲協会と相談した結果として「伝統に配慮し、土俵の下であいさつしてほしい」と断られたという。中川市長はあいさつ後に市役所で会見し、「もし女性が総理大臣になっても土俵にのせないのでしょうか」と指摘。「女性だから上がれないというのは差別だと思う。市長への対応を平等にしてほしい」と訴えた。近く日本相撲協会に議論を求める書面を出す。日本相撲協会の広報担当者の1人は取材に「協会としてのコメントはございません」と話した。

このニュースだけでも、こんな事実を諸外国の人たちが知ったら呆れかえるだろう、日本人として恥ずかしい、と思っていましたら、さらに驚きの報道がありました。

やはり朝日新聞の報道です。

4日午後2時すぎ、京都府舞鶴市で開かれていた大相撲の春巡業「大相撲舞鶴場所」で、土俵上であいさつをしていた多々見良三同市長(67)が倒れた。市などによると、複数の女性が土俵で市長に心臓マッサージをしていたところ、少なくとも3回にわたって「女性の方は土俵から降りてください」「男性がお上がりください」などと場内アナウンスがあった。地元有志らでつくる実行委員会によると、女性2人が土俵に上がって心臓マッサージをした。直後に救急隊員が土俵に上がり、女性に代わって救命措置を始めた。その間に複数回、「女性は降りてください」と場内に流れたという。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は4月4日夜、協会の行司が「女性は土俵から降りてください」と複数回アナウンスしたことを認めた上で、「行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫(わ)び申し上げます」とのコメントを出した。

大相撲界では「土俵は女人禁制」の伝統がまだ続いているようです。2000年の春場所では、太田房江大阪府知事(当時)が千秋楽の表彰式で府知事賞を自ら手渡したい意向を表明しましたが、協会が難色を示したことも当時、ニュースになっていました。社会問題となりましたが、この時は知事側が断念したとう結果でした。

伝統を重んじるのは良いことだと思いますが、人命救助をも妨害しかねない「土俵上の女人禁制」には厳しい見直しを大相撲界にお願い申し上げます。また諸外国の皆様の反応も考えて、伝統維持一辺倒の頑なな姿勢も国際的な視野に立って謙虚に見直していただきたいです。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

4月17日20時00分 814
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