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必要な医師の数「10年後に到達」

医師不足、看護師不足が相変わらず大きな問題になっていますが、私は以前から本欄で、このまま医学部の定員を増やしていったら、必ず医師があまる時代がくるという意見を出していました。

厚生労働省の最新の推計では、やはりそうなることが分かってきたようです。

2018年4月13日配信の朝日新聞デジタルに詳しい報告が載っていました。

厚生労働省は4月12日、全国の医学部の定員が今のまま維持されると、10年後には必要な医師数に達するとの推計結果を明らかにしました。医学部の定員は近年増加し続けてきましたが、厚労省は2022年度以降の削減も視野に検討を始めるといいます。これは医師の養成数を議論する検討会で示されたものです。

2018年度の医学部定員は計9419人でしたが、これが今後も続き、検討されている医師の労働時間規制を導入すると仮定して推計した数値を示しました。労働時間が週60時間に制限された場合、28年ごろにはその時点で必要とされる医師数は約35万人に到達するとのことです。再来年度に医学部に入る学生が臨床研修を終えるころには国全体の医師数が飽和する見通しとなったと発表されました。週80時間の制限でも33年ごろには必要数に達する見込みです。いずれの場合も必要とされる医師数は30年ごろには減り始め、将来的には医師数が必要数を上回り、その差が拡大していくというのです。

医学部定員は08年度から医師不足対策のために臨時増員が続いたため、17年度は9420人と過去最高でした。

この日の検討会では、定員の削減を求める意見が相次いだそうですが、受験生の立場を考慮して21年度までは今の定員数をおおむね維持する方針を確認したとのこと。22年度以降については、今後まとめる医師の労働時間の規制内容を踏まえて推計し直して検討する方針とされました。なお、特定の地域や診療科で医師が不足する偏在対策の効果も議論していくことになっています。

今回の推計は、医師の年代、性別ごとの就業率や仕事量のほか医療施設以外で働く医師数なども考慮して出した数値です。ただ、全国平均のデータを用いており、地域や診療科の偏在は反映されていないといいます。

医師不足だからといって節操もなく医師数を増やしていくと、某国のように、医師免許を持った人がタクシードライバーをやらないといけなくなるかもしれません。そこまで医師数を増やすような無駄な投資をしないように国全体で気を付ける必要があります。

なにしろ、私が医師になったころは、医学部学生の数は、1学年3000人と言われていましたから、現在の9400人以上という数値が、いかに多いかがわかります。別に私の特権意識を強調するつもりではありませんので、誤解なきようお願い申し上げます。ただし、大きな社会的責任を負った「選ばれし者」という意識は強く持って生きて来ました。現在話題になっている財務官僚も同じく、高い志を持って生きておられると思います。国民全員で、大切に育てていきましょう。

なお、私の学生時代、1人の医師をつくるのに、2800万円が必要と言われていましたが、私のような国立大学医学部生は、1か月1000円の授業料しか払っていませんでした。入学金は4000円でした。これで医師にしていただきましたので、少しでも長生きして、日本国民の皆さんに、お返ししなくてはいけないと思っています。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

4月23日20時00分 719
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