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孤独死増加で急成長

先日、新聞を読んでいたら、「特殊清掃業」という言葉が目にとまりました。いったい何を掃除する業務をこう呼ぶのだろう、と興味が沸きました。

5月23日付の毎日新聞でした。

同紙によりますと、「孤独死した人の自宅を清掃・消毒して原状回復する」仕事をする人を「特殊清掃業者」と呼び、現在、この業務に従事する人が急増しているといいます。

すでにこの業界の団体もできていると知り、驚きました。と同時に私自身の無知を恥ずかしく思いました。

同団体によりますと、全国で5000社以上が参入しており、団体が民間資格の認定制度を始めた5年前から業者数は15倍超に膨らんでいるとのこと。急成長産業ですね。

同紙は高まる需要の背景に、家族・親族関係の希薄化が浮かび上がる、と指摘しています。

以下、毎日新聞の千脇康平記者の記事を引用します。

特殊清掃業者は故人の住宅の管理人や親族らから依頼を受け、清掃や消毒のほか、遺品整理を請け負うこともある。孤独死の場合、遺体発見まで時間が経過すれば、室内の臭いや汚れがひどくなる。業者は特殊薬品や殺虫剤、電動のこぎりなどを使って室内を原状回復し、感染症予防のため防護服を着て作業することも多い。

業界関係者によると、特殊清掃は一部のリサイクル業者や引っ越し業者が始めたが、近年は葬儀や廃棄物処理など幅広い分野の業者の参入も目立つ。

だが、悪質な業者による高額料金の請求や雑な作業を巡るトラブルも少なくない。こうした業界の健全化を目指し、2013年に一般社団法人「事件現場特殊清掃センター」(本部・北海道)が設立された。

センターは民間資格「特殊清掃士」の認定制度を創設。遺族対応や質の高い清掃方法などをテーマにした約2か月間の通信講座を受け、試験に合格すると特殊清掃士に認定される。13年は資格取得者が在籍する業者は326社だったが、昨年末現在で5269社まで急増している。

厚生労働省の国民生活基礎調査などによると、16年の1人暮らしの高齢者数は約655万人(推計)で、10年前の約1・6倍に上る。核家族化も影響して孤独死は全国で相次いでおり、特殊清掃業の需要が高まっている。センターの小根英人事務局長は「需要は今後も増える。遺族らに寄り添える業者を育てたい」と話す。

初めはほんのニッチ市場であったと思われますが、すでに立派な産業に成長しています。今後も孤独死する老人が増えるに従い、さらに成長していく産業といえます。このまま行けば、株式を上場する会社も出てくるかもしれません。

私から見ると、私も含めて孤独死してお世話になる同年代の仲間も多くなると思いますので、どうかこの業界には健全な発展をしていってもらいたいと切に願います。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

5月29日20時00分 640
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