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2020年の東京オリンピックまであと2年となりました。計画が発表された当初より、真夏に東京でオリンピックをやって大丈夫かとの懸念が多くの国民から表明されてきましたが、ここまで来ると後戻りはできませんね。

東京都知事の会見の様子を過日、テレビで見て多数のボランティアを導入する案をお持ちだと分かりました。ボランティアを自分の手足のように使えるものと思っていらっしゃるような印象をもったので、私は不安になりました。都の職員を導入するのと、ボランティア活動で参加してくださる人を使う場合の根本的な違いをあまり意識しておれないような印象を受けました。

今年は特に暑さが厳しくなり、全国の各所で暑さのための犠牲者が出ています。2年後のオリンピック開催時の暑さがどうなるかは正確に予想できませんが、熱中症で倒れる人が多数でるものと私は推測しています。

特にマラソン競技が心配です。競技に参加する人の体調も心配ですが、沿道や競技場でレースを見守る人々のことも忘れてはなりません。競技者がどのような体調かは、テレビの中継映像からもある程度把握できそうですが、観客、応援者の皆さまは数が多くて、とても中継画像で観察できません。

沿道の応援者が倒れだしたら、いったいどうなるのかと考えると、私は恐ろしくなります。救急車が入るのも大変そうです。倒れた人を助けようと沿道の人たちがお互いに好意で行動した際に起こる混乱、二次災害も心配です。ランナーの走行を妨害した行為と見なされることによって起こる混乱により競技が成立しなくなる可能性もあると私は懸念しています。

開催責任者は、マラソン競技の実施に関しては、気温、道路の表面温度、湿度などを厳重に監視し、どの値に達したら競技開催を諦めるか、中止するかなどの取り決めをしておくべきだと思います。

前回の東京オリンピックのマラソンでは、優勝したアベベ選手と3位に入った円谷選手、および円谷選手と競技場に入ってからのデッドヒートを演じた2位のヒートリー選手の活躍が強く印象に残っています。円谷選手はゴール後、精根尽き果てて倒れ込みましたが、幸い大事に至らず回復しました。しかし、2年後の東京オリンピックと同じような気象状況で前回の東京オリンピックのマラソンが開催されていたら、円谷選手は大変なことになっていたのではないかと私は未だに恐ろしさを感じています。

暑さのための悲劇が起こらないようにと、2年後の東京オリンピックの成功を祈っております。

ボランティアとして活動してくださる皆さま、くれぐれも無理をなさらずに、途中撤退の勇気もお持ちください。

私の少年時代の英雄、円谷幸吉さんのご冥福を祈りつつ。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

7月30日20時00分 363
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