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昨年(2007年)末から今年1月にかけ、千葉、兵庫両県の3家族10人が被害を被った冷凍餃子中毒事件にやっと実体解明の兆しが見えてきました。

この事件では、中国からの輸入餃子に毒物が検出され、それは中国国内で混入したものと日本の警察は判断しました。しかし、中国側は2月末、「原料、生産工程、輸送過程でメタミドホスが混入された状況は見つかっていない」との見方を表明して、日本国民を驚かせました。これに対し、警察庁は、原因となった毒物であるメタミドホスの成分分析の結果、日本国内にはない不純物が検出されたため、「日本で混入された可能性は極めて低い」との見解を示していました。

中国の強硬な姿勢からして、私には、その後、両者睨みあいの状態が続き、膠着状態に陥ったと見えました。日本政府の弱腰姿勢では、解決は難しいとさえ思っていました。

ところが突然、中国が同国内での混入を認める発表をしたというニュースが飛びこんできて、驚いたり、安心したりしました。

しかし、ニュースをよく読むと、この事実は洞爺湖サミットの際にはすでに分かっていた事実であるというのでまた驚きました。

今回の発表は、中国国内でも同様の中毒事件が起きていたことがきっかけとなってなされました。中国国内でも同様の事件が起こっていたため、中国国内で混入された可能性が高いことを、ようやく中国側が認めた形となったのです。そして、その情報は外交ルートを通じて7月に日本政府に伝えられていたといいます。それなのに何故、日本政府は事実公表を1か月も引きのばしていたのでしょうか。まったく納得できません。

産経新聞が社説で指摘しているように、「国民の生命にもかかわる食の安全の問題より、北京五輪を控えた中国への外交的配慮が先なのか」と指弾されても仕方ありません。福田康夫首相は8月6日の記者会見で「捜査上の問題もあるので説明するわけにはいかない」と述べたと報道されていますが、国民が納得できる説明とはいえません。

「安心実現内閣」を掲げる福田首相としては、今回の不可解な対応について明確に答える必要があると思います。食糧自給率が40%を切るわが国としては、今回の毒物混入事件の真相を明らかにして、安価に手に入る中国製食物を安心して供給できる体制を確立することが急務です。中国の捜査当局には、事故と故意による混入の両面で改めて捜査を急ぐよう要求し、日本政府には、弱腰外交と見られないよう毅然とした態度で臨んでもらいたいと思います。

安くてうまい餃子を安心して食べたいな――、と思いながら。盛夏。

08年8月18日 21,054
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