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新型コロナウイルスのまん延は、いったいどうなったら、収束するのか、いつまで待ったら希望の光が見えてくるのか。果たして人類はこの闘いに勝てるのか、救われうるのか。最近では、本当に心細くなってきました。

ここまで闘いが長くなると、医療機関もコロナ専門のものをつくる必要があるという意見が当然出てきます。

しかし、コロナ専門の医療機関をつくっても、果たして経営が成り立つのかどうか。大きな不安があります。

一時的に需要が急に高まっても、まん延が収まった後は、これらの医療機関が備えた設備をどのように使っていくのか。流行が収まったからといって、一般病床に機能を変えても、今のように第2波、第3波の襲来が間近に迫っているといわれると、医療機関および病床の機能の切り替えは、容易なことではありません。そうこうしているうちに、医療機関の経営も破綻をきたすようになる可能性が高いと思われます。

民間病院でコロナ医療を担うのは無理だから、公的機関が担うべきだという意見が当然出てきますが、公的医療機関といっても、国でも地方でも、予算を自由に使えるわけではありません。日本銀行券をどんどん印刷して配ればよい、というわけにはいかないでしょう。

一方、コロナ禍が進む中、近年、頻度が急速に増してきた洪水などの自然災害への対策も立てなくてはなりません。昨年来の豪雨の回数を振り返るだけでも、いったい地球はどうなってしまったのだろうと、不安になります。まさかこの地区が豪雨被害にあるとは思いもしなかった、というところが襲われています。

国土交通省によると、梅雨時の大雨や台風で氾濫危険水位を超えた河川はこの5年間で5倍に増えていますから、地球温暖化を背景に、従来の治水対策では通用しなくなってきていると考えないといけません。

国や都道府県など、河川管理者だけでなく、流域の市町村、企業、住民が一体になって取り組む「流域治水」という考え方があると毎日新聞が紹介していますが、誠にご指摘のとおりだと思います。

ダムや堤防に頼る治水には、もはや限界があることが明らかになってきています。この認識に立った新たな防災・減災の手法を考えなければなりません。

政府も自治体の長も、意地を張って言い合いをしているときではありません。「チーム日本」で一本化して、皆で協力しましょう。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

7月20日20時00分 660

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