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今では不可欠の社会インフラの一部となったと言えるコンビニエンスストア(コンビニ)での長時間労働が問題となるようになって、少なくとも数年は経過したと思われます。

メディアも注目するようになって、その労働実態が国民に広く知られるようになったため、最近では、労働環境がかなり改善されていたのではないかと私は期待していましたが、まだまだ不十分であることがこのたび公にされました。

「コンビニエンスストア本部が加盟店に24時間営業を押しつければ、独占禁止法に違反する可能性がある」。そう警告する報告書を、公正取引委員会がまとめたというのですから、大きな問題と認識すべきでしょう。

コンビニの経営本部とチェーン店(各店舗)との関係については、各店舗の責任者の過労状態が報道されたり、売れ残ったものに対する処理法をめぐる問題(食品ロス問題)などがニュースとなったりするなど、世間も注目してきました。

人手不足の中、コンビニは深夜勤務の従業員を確保するのが難しいため、営業時間の短縮を求める加盟店が増えており、公取が大手8社を対象に行った調査では、約7割が希望していたといいます。しかし、見直しの動きは鈍く、この1年半で時短に踏み切った店舗は約4%にすぎないのが実態です。本部は24時間営業を続けたいのが本音だと言われても否定はできないでしょう。

問題の背景には、加盟店との契約方式があると毎日新聞は指摘しています。店舗の売上高が伸びるほど、本部の収益も増える仕組みになっており、本部は営業時間を長くして、売上高を増やそうとするとも指摘しています。これに対し、多くの加盟店にとって深夜営業はデメリットも大きく、深夜帯は人件費などのコストがかさむ割に売上高が少なく、店舗の利益を押し下げがちだと指摘しています。

経営側、チェーン店側、常勤および非常勤の従業員の皆さま、それぞれ事情があり、話を聞けば、どちらも気の毒だと同情を禁じ得ません。成長期には本部と加盟店が利益を分け合えましたが、売上高の伸び悩みと人件費の上昇に直面し、収益の基盤が揺らいでいるとの指摘にも納得がいきます。

それぞれのお立場の方々の言い分ともに理解されるところが多いと思いますが、コンビニは、今や公共料金の支払いや住民票の発行、災害時の物資供給拠点としての活用など、社会インフラとしての機能を期待されるようになっているのですから、皆さまの努力により、日本の社会を支える大きな力として、さらに発展していってほしいです。

公取が独禁法をちらつかせて改革を迫るのも、その期待の現れと理解してほしいです。利用者も含めた、すべてのステークホルダーの努力により、コンビニの健全な発展に努めましょう。

午前7時から午後11時までのみならず、24時間、国民はコンビニの活躍に期待しているのです。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

9月14日20時00分 480

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