企画・エッセイ » 記事詳細

国民を愚弄するな

福田康夫総理大臣が自民党総裁を辞任する決意を表明して以来、日本中が次の自民党総裁選びに目を向けてしまい、これまでの自民党批判も忘れてしまった感がありました。これがもともとの自民党のねらいだったといわれると、単純な私は「なるほど」と思ってしまいます。福田内閣の支持率が急落して、これでは次回の衆議院選挙で勝てる見込がないから、ここはひとつ総裁を交代させて新鮮なムードの中で選挙戦をやろうとするのは、理に適った賢い作戦ですね。

自民党総裁選挙運動中は私も5人の候補者の主張をざっと見てみました。私は「消費税をあげないと日本はやっていけないから上げる」と勇気を持って言える人は誰か、とう視点で観察していました。ところが、選挙前には「消費税を上げないとだめだ」、と宣言しておられた方々が、ずいぶんトーンが下がり、麻生氏に到っては「基礎年金は全額税方式に改め、財源は消費税を10%に引き上げる」が持論だったにもかかわらず、総裁選では「一つのアイデア」と後退し、9月22日の総裁就任後会見でも、消費税をどうするのか、筋道は明確にならなかったのですから、自らの主張の変貌振りに驚きます。

消費税を上げるというと国民に受けないから言わないようにしよう、という発想はあまりにも国民をバカにしていると私は思います。国民だってこのまま行ったら我々の子孫が大変な目にあうから何とかしなければいけない、ということは分かっているのです。しっかりと増税の必要性を説けば理解し協力してくれるのです。それを政治家達は避けて通ることにより選挙の票集めをしようと思って、いろいろと的を外した説明を繰り返しています。「バカな日本国民は税金を上げないと言えば喜ぶだろう」という発想からいいかげん抜けてだして欲しいと思います。

自民党の総裁戦は結局、来たる衆議院選挙に勝つための準備過程に過ぎなかったのです。だからこそ、この人を総裁にした方が戦いやすい、と思われた人へ票がなだれこむ結果になったのです。当選してからの麻生氏の演説が放映される時は、民主党の悪口を言っている光景ばかりが目につきます。日本を救うための議論を忘れて、衆議院選挙に備えてネガティブキャンペーンをやっているだけに見えて、これで日本は大丈夫か、と悲しくなります。

対する民主党も同じく「国民を喜ばせること」を言ってくれますが、その実行のための財源についての質問があると、それに対する説明が分かりにくいままで、私には心配です。

私は自民党員でもなければ民主党員でもありません。どちらが政権を担って頂いても結構ですが、日本をよくするためには「消費税アップなど、国民に負担をお願いする」ことを正々堂々と言える人を国会議員に選びたいと思っています。「暫くは増税しない」などと現実から逃げ、人気取りの戯言を言う人、すなわち国民を愚弄する人にだけは投票しないようにします。

08年9月29日 13,909
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved