企画・エッセイ » 記事詳細

日本の医療における医師の過剰労働が話題に上るようになり、最近ではその具体的な数値も断片的に紹介されるようになりました。こんな中、2007年7月 日に共同通信社から配信された記事は、日本の医療の実態を客観的な数値を示しながら、分かりやすく表現していますので、参考までに記事の内容を御紹介いたします。

経済協力開発機構(OECD、 か国、本部パリ)は2007年7月 日までに、先進国が中心の加盟各国の医療を比較する「ヘルスデータ2007」を発表しました。この中で日本については、医師の不足の問題が報告されています。

人口1000人当たりの医師数を見ると、日本は か国中 位の2・0人( 年)で、OECD平均の3・0人を大きく下回っています。一方、1年間に医師の診察を受ける回数は 国民1人当たり日本は ・8回( 年)で、データがある か国中で最多です。このような数値から、わが国では少ない医師が多くの診察をこなさざるを得ない実状が理解できます。

日本の医師数を各国との比較でみると、日本2・0、英2・4、米2・4、独3・4、仏3・4、スウェーデン3・4、平均3・0の割合です。これに対して、1人当たり診察回数は、日本 ・8、英5・1、米3・8、独7・0、仏6・6、スウェーデン2・8、平均6・8となっています。

つまり単純計算で日本の医師は米国の約4倍、OECDの3倍強働いていることになります。

気になる医療のお値段(医療費)をみてみると、日本の1人当たり医療費は2358ドル=約 万円相当=( 年、購買力平価換算)で か国中 位です。厚生労働省は医療費抑制を目指していますが、日本の現状はOECD平均を下回り、先進7か国(G7)では最低になっています。受診回数が世界一多いのに、最低なのです。これにより、いかに日本では医療費が安いかが一目瞭然です。

各国の医療費を対GDP費でみると、 日本8・0、英8・3、米 ・3、独 ・7、仏 ・1、スウェーデン9・1、平均9・0(単位は%)となります。

つまり、報酬の面では労働対価にすると、日本では、米国の8分の1、OECDの平均の5分の1しか支払われていないのです。

このような数値を示されると、日本の医療者、医師達は、「なるほど、やはりそうか。自分達はワーキングプアのはずだ」と納得できるわけです。自分達の苦労がOECDのような権威ある組織によって数値化されて報告され、溜飲を下げた思いの医療従事者が多いことでしょう。

読者の皆さまにも、医療崩壊の実態を理解するのに、共同通信社のこの記事は分かり易い説明だと思います。日本の医師不足を浮き彫りにしたOECD加盟国の医療統計でした。共同通信社に感謝いたします。 2007/10/02掲載分

* * *

加納宣康 昭和 年8月4日岐阜県生まれ。現在、亀田総合病院特命院長補佐、主任外科部長、内視鏡下手術センター長、マハトマ・ガンジー・メモリアル医科大学名誉客員教授

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

07年10月1日 42,658
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved