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伊予ヶ岳から大日連山の並び

山中激歩連載【第19回】

(19)川上駅から中央林道合流へ

通称・二部街道を渡る。不寝見川からのルートは、時折、大きな道路を横断しなければならない。古道は房総半島南部を南北に縦断するが、現在の自動車道路には、半島横断道路がいくつかある。現代人の生活に欠かせない道路は、こうして古道を部分的に切り裂く。

県道をいったん西へ歩き、すぐに分岐となる。目印は川上青年館。青年館の角を右に入る。コンクリート道を登るが、少しきつい上りである。県道は谷筋に東西に横断する。古道は尾根筋に南北に縦断する。したがって県道をまたぐときは、下って上らなくてはならないのだ。

地図によるとそのまま嶺岡中央林道へ抜ける道があるが、現在ではやぶが深くて、機能していないという。川崎さんは途中を左へ折れ、やぶこぎしながら、道をつくっていく。当然、ここにも道があったのだが、いまは歩く人もなく、草木が伸び放題である。案内の山口一嘉さんが、鎌で草を切って進む。やぶをこぐと、小さな鉄橋が渡河されている。人がひとり渡れるだけの橋だが、こんな工作物があることが、立派な道であることを示している。

中央林道からの佐久間方面の眺め

橋を渡ると、草刈りのされた道。すぐ左には畑があるから、地主が管理しているのだろう。頭の下がる思いである。

この道を登り切ると、コンクリート道になって、正面に民家が出る。このコンクリ道を左に行けば、井野の集落を経て、県道富山鴨川線に出ることになる。

ここを右へ進む。長い上りのコンクリート道である。汗をかき、あえぎながら、登る。しばらくして振り返ると、素晴らしい眺めが広がった。左に伊予ヶ岳の岩ピーク、その右に御殿山、鷹取山、宝篋山、大日山がつづく。伊予ヶ岳と大日連山が並ぶ場所もそうない。この眺めは特筆ものだろう。

県道から45分ほどで、嶺岡中央林道の合流点になる。いま登ってきた道が、林道上井戸沢線。合流した道が嶺岡中央林道で、左に行けば旧鋸南二中方面、右が伊予ヶ岳方面である。

この合流地点の眺めがまた素晴らしい。西側に開けた場所には、佐久間の集落が広がる。左が津辺野山、正面に竜島の浅間山、その右に東京湾、さらにその先は三浦半島である。冠雪富士がうっすらと頭をのぞかせている。

いまは舗装された中央林道だが、一部ルートは鎌倉街道だったはずだ。ここで富士を眺めた人は、はるか浦賀水道の先に鎌倉を感じたのだろうか。

中央林道は一般林道とは格が違って、広い林道である。崖もコンクリート吹き付けで崩落を防止してある。快適な道だが、眺望はあまりない。

(つづく)

【写真説明】伊予ヶ岳から大日連山の並び

【写真説明】中央林道からの佐久間方面の眺め

07年7月24日 74,343
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