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樹間からの白浜灯台の眺め

山中激歩連載 【第1回】

房総半島南部を縦断する古道がある。南北に伸びる尾根筋で、踏み跡もしっかりした、昔からの道。戦国時代の里見氏のころから、武士(もののふ)らが歩いたであろう道を、忍足利彦記者がのべ6日かかけてたどった。案内は房州の山を歩くパイオニアである、川崎勝丸さん=鋸南町在住=ら、山仲間。もちろんハイキングルートではないし、道標もない。一般の人では歩けないルートだ。ベテランの案内でようやくたどった「房州古道」である。【全24回、原則として毎日掲載】

(1) 白浜城跡から三角点へ

現在のように、トンネルや橋梁などの土木工事の粋を集めた道は、房総半島南部に縦横無尽に走る。アスファルトで舗装された道には、自転車やオートバイ、乗用車、バス、トラックなどが走り、私たちの生活に欠かせない道路となっている。

静かにたたずむ三角点

では、トンネルも橋もない時代は、どうだったのか。人は歩いて、あるいは馬に乗って移動する。川があれば渡河し、山があれば迂回する。そうやって人は移動した。だから、いまある県道や国道が、昔からの街道筋と思いがちだが、実はそうではないらしい。戦国の世は、山中を移動した。山城があった時代だ。城のある山と山を結ぶ尾根。そこに立派な道があった。今回の企画は、そんな古道を歩こうというのである。

房総半島の南端・白浜から郡界尾根上総側の三浦三郎山まで、ひと筋の山道がある。途中、道路や線路が横切り、一部は街道としての体はなしていないが、いまでもしっかり歩ける。そんな房州古道を、白浜から北上する。

スタート地点は、南房総市白浜町の白浜城跡。まずは、ここから館山市稲の稲村城跡までを歩く。

城跡下にある青根原神社を出発。ここは里見氏2代成義の墓所がある場所だ。地元で城山(じょうやま)と呼ぶ白浜城跡へ登る道を歩く。途中に「民話の道」という小さな標識があるので、これに従う。芋井戸などの文化財を過ぎると、すぐに山道になる。10分ほどで本丸跡への分岐となるが、左の本丸へは向かわず、右へ。広くて平らな廓(くるわ)跡があり、そのまま進むと杖珠院から登る道と出合う。

杖珠院はご存知、前期里見氏の菩提寺。4代までの木像がある古刹だ。白浜城跡とは深い関係にある。

やぶこぎ気味の道を進むと、やがてしっかりとした踏み跡になる。道は杖珠院から登る方がしっかりとしていて、ここからが古道の本領であろう。

スタートから50分ほどで、「白浜」三等三角点が現れる。標高は142・8メートル。周囲はクマザサに囲まれ、静まり返っている。

(つづく)

【この連載は、ハイキングガイドではありません】

【写真説明】樹間からの白浜灯台の眺め

【写真説明】静かにたたずむ三角点

07年7月2日 64,033
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