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「御所覧場」からの嶺岡山系の眺め

【第14回 大山祇命ピークへ 北と南の絶景見え隠れ】

嶽神ピークを下る途中に、7つの墓石が並ぶ場所がある。天明や天保の文字が読めるので、嶽神碑より歴史は古い。この墓石も、かつては信仰の人が訪れたであろう証である。

墓石を過ぎると、すぐに広い林道に出る。この林道を左に折れて5分ほどで、絶景のビューポイントになる。内田栄一氏の「房総山岳誌」(崙書房出版)によれば、この峠を地元では「御所覧場」といい、里見の殿様が景色をご覧になった場の意だという。長くて狭い長狭平野が長手方向から見渡せる場でもある。

嶺岡愛宕山、嶺岡大塚山、馬の背、熊捕山の嶺岡山系が並び、平野の向こうには青い太平洋が見える。殿様もさぞ気分が良かったことだろう。

この御所覧場から尾根の取り付きがあり、ここをよじ登る。ここからしばらくは市境の細尾根が続く。ところどころに木の根が浮かぶ尾根である。

樹間に北側と南側の絶景が見え隠れする。南は富山、伊予ヶ岳、嶺岡山系の諸山、北は関豊愛宕山、マザー牧場のサルビアの赤、石射太郎、高宕山などの上総低名山もはっきり見えるのだ。さすがは郡界尾根。安房と上総の名山の景色が楽しめる。

笹やぶや潅木をかき分け、アップダウンを繰り返しながら、東へ向かう。ときにきつい下りもあり、ここは潅木をつかみながらの歩行だ。両側は切り立ったような崖。危険極まりない。ようやく下って、尾根を縦断するような林道に降りる。少し林道を歩いて、さらに尾根を登る。ここからが胸突き八丁の上り。ぐっとこらえて歩を進めると、10分ほどで小さなピークになる。ここに「ヤマに水」マークと「浅百大神」と彫られた石碑がある。台座を含めて1・5bほどか。手水鉢もあるので立派な宮なのだ。嶽神ピークと同じで、いまは訪れる人もなく、石碑にはつたが絡まる。

「浅百大神」の巨大な石碑

この石碑ピークから先は、植林された杉林である。尾根の腹を巻くように杉林の中を歩く。杉林の中なので、道らしい道がない。川崎さんが正確な記憶を元に、先導していく。ここで奈良林からの林道に出合う。少し広くなったところで、小休止。晴天日だが杉林で光も届かない。林は静寂が支配している。

林道出合いから15分で、林道大山線に出る。このまま東へ向かえば、三郡山から安房高山だが、分岐北側に三角点峰があるので、こちらに登る。

(つづく)

【写真説明】

「御所覧場」からの嶺岡山系の眺め

「浅百大神」の巨大な石碑

08年1月19日 16,347
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