企画・エッセイ » 記事詳細
扇状に滑り落ちる宮田の滝

[第3回] 宮田の滝(鋸南町奥山)

観光コースになった滝

滝の定義について、国土地理院は「流水が急激に落下する場所」(公式ホームページ)とし、地図記号は「ふつうは高さが5b以上で、いつも水が流れている有名な滝や好目標となる滝を表示している」(同)としている。

宮田の滝は、乙井沢の滝の東側にあるナメ滝で、一部にコンクリート構造物がある。いつも流れはあるし、落差は5b以上あろう。扇状に広がって落ちる美滝だ。

上流部分は、かつて簡易水道の奥山水道組合の水源として活用されていた。コンクリートの構造物はその名残だ。現在は町営水道が敷かれ、この設備は使われていない。その人工感を差し引いても、観賞にたえうる滝である。

佐久間ダムに注ぎ込む、佐久間川の支流のひとつ。川の源流部に近く、近くの山からのしぼり水がここに集中する。近くには美田が並び、この豊かな水が、近くの田畑も潤しているのだ。

イノシシが出没するのだろう。田の周囲には電柵が張り巡らされているが、稲は立派な生長ぶりで、篤農家が多いのがすぐにわかる。

クルマは佐久間ダム湖畔の駐車場に置いてハイクするのがいいだろう。山沿いの田に沿って歩く。車道からは3分ほどで着く、身近な滝である。

滝口がコンクリートで狭められ、そのまま流れは扇状に広がって岩肌を滑り落ちる。高低差は5bほど。滝つぼにコンクリート井戸枠があり、上流にもいくつかの人工物や塩ビ管も配されている。ポンプ機場跡もある。かつては飲料の水源となっていたことを思うと、こうした人工物は仕方ないだろう。

上流側から見た宮田の滝

それよりも、この急な流れを活用し、簡易水道を完成させた地元の力に敬意を表したくなる。自然を見事に活用しているのである。

滝の上流は二股になっていて、右股は小さな流れ、左股が本流である。本流側にはコンクリート構造物があり、その上はさらにもう1段、自然の滝がある。構造物があるのが惜しいが、人の営みあっての房州寂名瀑なのだ。

地元の佐久間ダム湖観光生産管理組合は、この宮田の滝から越の下の滝間で、ハイキングコースを整備した。初夏はホタル、秋にはモミジが楽しめる里山コースである。現地には地図の入った看板もある。

水源の美滝はいま、観光コースとして生まれ変わった。そんな滝が房州にある。うれしいことだ。

ちなみに宮田は、この地の小字である。

【写真説明】扇状に滑り落ちる宮田の滝=鋸南町奥山

【写真説明】上流側から見た宮田の滝=同

09年7月25日 9,531
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved