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上流第1滝を行く

外野不動滝(下)(南房総市荒川)

荒々しい流れの女滝

承前。男滝はそのまま滝つぼを形成し、下流に流れ込む。男滝の上流右手にあるのが、女滝。不動滝のもうひとつの主滝である。河川の筋では、女滝が本流で、男滝は支流だ。

男が高みから落水するのに対し、女は低い位置の岩肌に沿って優しく落ちる。それでも流量は相当なもので、荒々しい流れなのは同じだ。何しろ、こちらが本流なので流れは多い。房州の「女」は、滝も人間も活発なのだ。

女滝は高さ10b、幅5bほどか。岩肌に沿って扇状に広がる。末広がりを思わせる美滝である。

この女滝の右側をよじ登る。岩が滑って滑落しやすい。先行した川崎勝丸さんが、ザイルを垂らしてヘルプしてくれる。スパイクの付いた長靴で慎重に上る。ここで滑れば一気に滝つぼだ。房州の滝とはいえ、やはり難所なのである。

女滝を過ぎると、上流の第1滝になる。ここがトヨ状になっていて、また難所である。水流はこの狭い滝に集中し、激流となる。岩を穿って水が貫く。幅が狭く、両岸から岩が迫る。ここを越えるには四肢を踏ん張らなくてはならない。両手を両の岩に突っ張り、このトヨ状の滝を越える。

女滝をザイルで登る滝見隊

すると、上流第2滝が出現する。ここが幅5b、高さは2bほど。下流から数えると、下流第1、下流第2、男滝、女滝、上流第1、上流第2となる。これで6滝。外野の瀑布帯は別名「外野の七つ滝」と呼ばれる。小さな滝も数えれば七つ滝なのだろう。最後の滝を過ぎると、両岸がケンチブロックとなる。ここで激流は終わり、右岸にふとんかごが置かれる。この階段状のふとんかごを上ると、そこは水田だった。

田を過ぎるとすぐ上が県道で、クルマもびゅんびゅん通る。県道を館山方面に歩くと、左側に外野協同館があり、その反対側に光明真言をはじめとする石仏群が鎮座する。

川を遡行して1時間10分。楽しい七つ滝めぐりが終わった。

瀑布帯を除く平久里川の上下地帯は、いわゆる3面コンクリート。平久里川は概ねこうした川の姿だが、ここだけは手つかずである。河川管理者は、よくぞこの瀑布帯を残してくれたものだ。

降下点も遡行も難度の高い場所なので、素人は近づかない方がいい。歩く場合は自己責任で、ベテランと一緒に行こう。

【写真説明】上流第1滝を行く=南房総市荒川

【写真説明】女滝をザイルで登る滝見隊=同

09年8月8日 8,863
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