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飛まつを上げて落下する伊戸の滝

[第13回] 伊戸の滝(館山市伊戸)

人を近寄せない豪快な滝

遠くから見る滝と、瀑布の真下で見る滝は、まるで別ものである。そばに近寄り難い地形も多々あるが、本連載ではなるべく滝下まで歩くことを原則としている。

この滝は、平砂浦を走るフラワーライン(県道南安房公園線)からも確認できる。滝の南側にあるリゾートホテルからは、もっと視認性がよいのではないか。農地に近い山肌の樹木の切れ目に白い飛まつが流れる。もっとも上流に伊戸堰があるので、落水するのはある程度の雨の後に限られる。

フラワーラインと旧道がY字状に分かれる場所の北側に位置する。クルマを安全で迷惑にならない場所にとめ、農地の間の作場道を歩く。農家が草刈り管理している道だ。踏み外して農地を荒らさないようにしたい。

フラワーライン側からの眺め

滝のそばまで行くうちに、キジが2羽飛び出す。周辺には豊かな自然があるのだ。近くまでは行けるが、滝下に行く道はない。川を遡行するのが一番だが、ここにはイネ科の多年草、ダンチクがうっそうと茂り、人を近寄らせない。左側のものものしい竹やぶの中を高巻きするが、これが非常に歩きにくい。取り付く場所も、降下する手がかりもない。危険なので初心者は遠慮した方がよさそうだ。

無理やり左に高巻きし、竹やぶをこいで、無理やり滝下に下りる。雨上がりなので、水量が豊富で、見事な瀑布を形づくる。上部が扇状に落ち、中段には苔むした岩がある。この苔部分で滝は左右に広がっていく。左の流れ下に小さな滝つぼが形成され、右の流れは激流となって落ちる。中央部分はいく筋にもなって落ちる。非常に美しい豪快な滝である。瀑音もものすごく、雨後はかなりの迫力である。

高さは20bほどか。迫力ある滝だが、普段はこれほど落水していないのが玉に瑕(きず)である。上流が取水構造になっていて、普段は水量が少ないのだ。

滝の下流は、小さな川になっているが、踏み跡はなく、人を近寄せない雰囲気がある。やはり遠くから眺めるのがいいのかもしれない。地元では単に「おたき」と呼んでいる。周辺の小字は「小滝」である。不動様がまつられていることから、伊戸の不動滝という呼び名もある。

【写真説明】飛まつを上げて落下する伊戸の滝=館山市伊戸

【写真説明】フラワーライン側からの眺め=同

09年10月3日 9,110
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