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豪快に落下する小滝涼源寺の滝

[第16回] 小滝涼源寺の滝(南房総市白浜町塩浦)

鍾乳洞わきを落ちる滝

インターネット上では、単に「涼源寺の滝」などと紹介されている美滝である。

近くにそのような寺はなく、不思議な名であるが、これは滝周辺の小字からとったものである。滝のすぐ右に県指定の天然記念物「白浜の鍾乳洞」がある。この周辺の小字を小滝涼源寺という。

増水時に出現する滝なので、地元では特に名前をつけて呼んでいるわけではない。地元の人に聞いたが「特に名はない」という声も多かった。小字を冠にした滝なので、本連載ではフルネームを採用したい。何より、滝の名に「小滝」が含まれるのがいい。

安全な場所にクルマを置き、塩浦地区の農地の中を歩き、山際へ詰める。白浜町教委(当時)の掲出した「白浜鍾乳洞入口」の看板に従って、巡視路のようなコンクリートの道を歩く。正面に天然記念物を示す看板があり、鉄柵が施されている。これが白浜鍾乳洞で、この左手に豪快な滝がある。

滝上部は、広い岩幅に沿って垂直に落下する。水はいったん右に集まり、ここで水流が合わさり、急激な流れとなって落下する。その下に段差があって、左へ流れた後、浅く広い滝つぼへ落ちる。普段はこれほどの流れはない。取材日は雨上がりなので、水量が豊かであった。

滝つぼ上では美しく広がる

この滝の上流には岩根沢下堰がある。塩浦、乙浜地区の農地をかんがいする用水でもある。農地へ送る水がオーバーフローした分が、こうして落下するのである。滝はそのまま大石川となって、塩浦の海岸に注ぐ。

滝つぼの先はコンクリートで固められている。下流域でそのまま用水となって使われるのだろう。海に山が迫るという地形の条件を克服し、農業用水が構築されているのだ。滝はその過程で姿を現しているに過ぎない。

鍾乳洞から川底には下りられるが、滑りやすいので注意した方がいい。鍾乳洞前からでも美滝は十分楽しめる。

【写真説明】豪快に落下する小滝涼源寺の滝=南房総市白浜町塩浦

【写真説明】滝つぼ上では美しく広がる=同

09年10月24日 11,261
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