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きれいによみがえった乙井沢の滝

連載その後

よみがえった乙井沢の滝

房州西部滝慕情を7月から半年間にわたって掲載したが、その後、地元の動きや反響があったので、番外編として紹介しよう。

連載の2回目、乙井沢の滝(7月19日付)では、上流から滝上に分け入った。やぶがひどく、瀑布にモウソウチクが覆いかぶさり、写真もあまり撮れない状況だった。

11月22日になって、地元・佐久間ダム湖観光生産管理組合(石井廣一組合長)から、ファクスをいただいた。通信面には次の文があった。

「このたび、滝の周辺をきれいに刈り払い、湖畔一番奥の地点から一望できるようになりました。ダムは地すべり工事着工のため、相当落水してありますので、滝下まで行けます」

滝下に立ち入ることのできない滝に行ける。その上、あの邪魔なモウソウチクを伐採したという。小躍りして、三脚とカメラを手に出かけた。

佐久間ダムの北端部、湖畔に突き出たフジ棚の近くから、滝が一望できる。滝にかぶさっていた左側のモウソウチクがきれいに刈られ、右の立木も切ってある。ケヤキだろうか、コナラだろうか。黄葉した落ち葉が岩肌に張り付いている。雨後だったので、それはそれは見事な流水となった乙井沢の滝の姿が、そこにあった。

確かにダムはかなり落水していて、一部湖底が見える。コンクリート護岸を注意しながら降り、湖面に立つ。少しぬかるんでいるが、歩くには支障はない。滝の近くでは燃えかすがまだくすぶっていた。組合の人たちが前日に燃やしたのだろう。翌日になってもほんのり暖かい。

連載当時のやぶだらけの滝

鋸南一の名瀑といわれた、乙井沢の滝が美しい姿でよみがえったのである。滝下まで歩かなくても、フジ棚からも良く見える。ダム周辺を散策しながら、乙井沢の滝を眺めるのも良かろう。地元の熱意に頭が下がる思いである。

連載の第19回、大川の滝(11月15日付)では、滝の下に住む方からファクスをいただいた。取材日に滝の登り口が分からず、教えを請うた民家の人だ。ご主人がていねいに登り口まで案内してくださった。ハイキングの縁で、川崎勝丸さんのことも、記者(忍足)のこともご存知だった。ヤマ屋としてうれしい限りである。

連載前編・番外編の最後に、大川の滝下に住む的場さんからのファクスを紹介しよう。

「大川の滝には、住民もあまり近づかなくなっています。危険を冒しての取材、感動しました。ていねいな現場での描写、そして美滝との称賛までいただき、我がことのようにうれしく思いました。静寂の中にあっても、以前のように身近な存在であってほしいと思います」

(前編おわり)

【写真説明】きれいによみがえった乙井沢の滝=鋸南町大崩

【写真説明】連載当時のやぶだらけの滝=同

09年12月26日 9,819
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