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岩肌を流れ落ちる不動滝=鋸南町元名

日本寺の不動滝★にほんじ ふどうたき★(鋸南町元名)

信仰に満ちた境内の美滝

若葉萌える季節。先週に引き続き、春の特別編をお届けする。今回はゴールデンウイーク真っ只中とあって、身近な観光地にある滝を紹介しよう。安房と上総の国境にある鋸山(標高329・5b)の南側山麓に広がる乾坤山日本寺。この境内に小さいながらも信仰心に満ちた滝がある。それが不動滝である。

いまから1300年前、聖武天皇の勅詔を受けて、行基菩薩によって開かれた。数度の宗旨替えを経て、現在は曹洞禅宗。わが国の国号を冠するだけあって、歴史も古い。鋸山南麓に広がる広大な境内には、大仏、千五百羅漢、百尺観音など、さまざまま石造物がある。頼朝蘇鉄、弘法大師護摩窟など、歴史ロマンの残る名所も。こうした名所をすべて見るには2日がかりだが、今回は不動滝に的を絞ってみよう。

日本寺境内に入るにはいくつかのルートがある。金谷側からの裏登山道、保田側からの表参道、無料駐車場からの東口ルート。登山が苦手な人にはロープウエー、有料の登山自動車道もある。

もっとも一般的なのは、保田側の無料駐車場にクルマをとめ、東口管理所から入山する方法だろう。拝観料は大人600円、子どもは400円。団体割引もある。

滝つぼ上で憤怒の表情の不動明王=鋸南町元名

大黒堂を正面に見て、左の薬師本殿、乾坤稲荷方面へ折れる。頼朝蘇鉄を左に見たら、右への階段を登る。やがて石造りの通天窟があり、さらに階段を登ると大仏口管理所になる。ここを右へ行けば大仏広場だが、滝へは正面へと進む階段を行く。

弘法大師護摩窟を過ぎると、正面の階段先にあるのが目指す不動滝である。

15段の石段を登ると、正面にひさし状の岩壁が出る。ここに2条になって流れが落ちる。左股は水量少なく、右股は上部の塩ビ管からそれなりの水量で落水している。右股の下に小さな不動明王が火焔を背負って鎮座する。水はいったん不動明王前の滝つぼに落ち、ここから落差4bほどのナメ滝になって下へと落ちる。

小さいながらも2段の滝で、総高さは8bほどか。雨上がりに出かけたが、水量は多くない。それもそのはず。このすぐ上は岩盤の鋸山の主尾根で、豊富な水はないのだ。

滝つぼの左右には一対の羅漢像が、柔和な表情で座る。全山これ羅漢像なのだが、滝を見守る石仏もまた素敵である。

15段の石段を降りた場所に、小さな石のめがね橋がある。これを天台石橋という。このまま聖徳太子像方面に進めば「あせかき不動」の近くに「白糸の滝」があるが、水量が非常に少ないため、現在は寺側はこの滝の表示はしていない。

大仏広場へ下って、全高31・05bの日本寺大仏を拝観する。いまはちょうど、フジの花が見ごろ。全山これ新緑で、滝見だけでなく、日本寺で歴史にふれるのもまた楽し、だ。

近場へ出かけませんか。

【写真説明タテ3段】岩肌を流れ落ちる不動滝=鋸南町元名

【写真説明タテ2段】滝つぼ上で憤怒の表情の不動明王=同

10年4月30日 7,209
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