企画・エッセイ » 記事詳細
扇状に広がる塩井戸の大滝

[第2回] 塩井戸の大滝(しおいどのおおたき 南房総宮下)

山深く秘滝中の秘滝

2級河川・丸山川の支流、塩井戸川の上流域に位置する。昨年11月、この川の名の由来となった「塩井戸確認」の取材で現地に足を運んだ際、地元に住む御子神勝巳さんが案内してくれた滝だ。滝めぐりは、地元の人の案内が一番心強い。

国道410号の安房中央ダム手前から、林道神子線へ入る。「御殿山ハイキングコース」の看板もあるので、これに従う。屈曲する林道を道なりに進むと、 15分ほどで飲食店「隠れ屋敷典膳」となる。この先をハイキングコースの看板にしたがって進む。クルマはどこか安全な場所に止め、歩くのがいい。

10分ほど歩くと、右下の岩盤に塩井戸の名の由来となった井戸と塩神様がある。これを過ぎると、左手に岩盤を流れ落ちるナメ滝がある。雨の後にしか出ない滝で、無名である。

さらに林道に歩を進め、いくつかのカーブをやり過ごすと、林道は勾配を増してくる。川は林道の下になるが、せせらぎの音が聞こえる。

ひときわ音が大きくなる場所が、塩井戸の大滝である。林道からもその姿を眺められるが、房州滝見隊としては、やはり滝下に降りなければなるまい。

同行の山口一嘉さんが、20bのザイルを出す。これを立木にしばり、1人ずつ降下していく。非常に危険なので、上から見るだけにとどめたい。

林道沿いにある無名の滝

慎重に斜面を降りて、谷底に着く。驚いたことに、周辺の雑木が切り倒されている。御子神さんたちが、記者(忍足)らのために切ってくれたのだろう。この危険な谷底にチェーンソーを持って降りたのだ。その労苦に頭が下がる思いがする。

滝は高さ6b、幅は2bほどか。扇状に広がる懸垂型の美滝で、滝つぼも丸く形成されている。左側に枯れた杉が倒れかけていて、カメラアングル的には少々邪魔になるが、滝の姿そのものは美しい。滝左側の岩盤からは硫黄が流れ出している。滝つぼの周囲に硫黄臭が漂う。丸山川上流にある、秘滝中の秘滝だろう。

この滝の上は、御殿山からの分水嶺だ。この尾根を越えれば、東京湾側に注ぐ平久里川支流の大谷川。尾根に降った雨は、嶺を分かって大谷川と塩井戸川に分かれる。その両側に美しい滝が存在する。房州の山は低いが、ワイルドな部分も十分あるのだ。

【写真説明】扇状に広がる塩井戸の大滝=南房総市宮下

【写真説明】林道沿いにある無名の滝=同

10年7月3日 8,640
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved