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末広がりの2段に落ちる水ノ台の滝

[第10回] 水ノ台の滝(みずのだいのたき, 鋸南町大崩)

志駒川源流部の豪快滝

長狭街道にはいくつかの水系が交錯し、複雑な地形をもつ。前回の下貫沢の小向川は保田川水系で、今回の滝がある細川は、志駒川水系である。長狭街道の横根峠付近は、太平洋と東京湾の分水嶺になっていて、志駒川へ流れたり、保田川へ流れたり、加茂川に流れたりするのだ。

水ノ台は、大崩の小字である。公共バスの転回所がある大崩公民館から左に八雲神社を見て、さらに奥へ進むと、小さな峠を越えた先の左手が水ノ台集落である。

横根峠方面へ続く道を左に折れ、坂を下っていくと、数軒の民家がある。周辺は沢を中心にしたくぼ地になっていて、この辺に滝がありそうだとにらんで、川へ降りていく。

コンクリート道を下ると、小さなコンクリ橋がある。が、その先は農地。周辺はかなり荒れていて、数年は耕作がされていないような状況だ。川はいわゆる三面コンクリートで、いくつかの段差をもって、下流へ流れている。コンクリート護岸の連続で、滝など存在しそうもない雰囲気である。

川崎勝丸さんと、途方に暮れながら上流へ向かって歩くと、あにはからんや、コンクリート護岸の切れ目に立派な滝があった。

2段の滝で、上段の高さ4b、下段は6bほどか。幅も5bほどもある豪快な滝である。下段に倒木がかかり、少々邪魔だが、水量が多く、その雄大さに圧倒される。

下段の滝つぼも大きく、流れは八の字の末広がりになって落ちていく。下から撮影後、滝上部へ上がった。滑りやすいので慎重に足を運ぶ。

美しい渓流となる上流部

中段の滝つぼは、ほぼ正円で深い。滝の左側の苔むす岩を三点確保で登っていく。するとどうだ。上流は右へのカーブになっていて、その先は石畳のような渓流なのである。滝から下が三面コンクリートなのに対し、滝上部は自然が手付かずのままなのだ。

右カーブの先は左に曲がるS字となり、この先に落差2bほどの小滝がある。これを過ぎると、水を堰き止めるコンクリート構造物があって、さらにこれを乗り越えると、まだまだ渓流が続く。やがて大きな砂防ダムが出て、ここで自然の川は終わる。

連瀑とはいかないが、美しい渓流の連続なのだ。まさに水ノ台である。河川管理者はよくぞこの部分をコンクリート化せず、自然のままに残したものだ、と思う。川面にはイロハモミジがかかる。晩秋にもう一度訪れてみたいものだ。

滝を越えるのを注意すれば、渓流歩きも楽しめる場所である。

【写真説明】末広がりの2段に落ちる水ノ台の滝=鋸南町大崩

【写真説明】美しい渓流となる上流部=同

10年8月28日 6,704
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