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豪快に白く落水する下の沢の滝=南房総市白浜町白浜

[第14回] 下の沢の滝(したのさわのたき、南房総市白浜町町白浜)

里見氏菩提寺わきの滝

館山市稲と南房総市白浜町白浜を結ぶ広域農道、通称「安房グリーンライン」。安房白浜トンネルの南側にあるのが、房総里見氏初代義実の菩提寺、杖珠院である。境内には義実の墓があり、本堂は歴史あるたたずまいを見せる。

この古刹の東側に小さな滝がある。上流にある下の沢の堰の吐水が岩肌を流れて、大川となる。基本的に原地区の水田を潤すための用水なので、滝の下の流れはコンクリート3面張りの用水路である。

地元の人は堰の名にちなんで下の沢の滝と呼んでいる。取材日は雨上がりで豪快な姿だった。

杖珠院の東側、コンクリート用水との間の草地を歩く。正面にバショウの大きな木が出る。バナナのような広い葉で、南国ムード満点である。

このバショウの木の先に目指す滝はある。高さは15bほどか。上部は樹木が生い茂っていて、よく見えない。見える範囲での目測である。

樹木の下を豪快に流れて、下段は幅3bほどに広がって落ちる。下段の岩で流れはいったん右に寄り、そのままコンクリートの川となっていく。浅いながらも滝つぼも形成され、いくつもの岩が転がっている。

滝の下流側には名刹・杖珠院がある=同

原地区は名にしおう露地花の産地である。千倉の七浦地区と並ぶ産地で、温暖な冬に七色の花畑が広がる。この白浜から千倉にかけての農地には、いくつもの滝がある。東から七浦の滝、大川の滝、白間津不動滝、白間津の滝、塩浦不動滝、小滝涼源寺の滝、そしてこの下の沢の滝。これらの滝の共通項は、上流に農業用堰が存在することだ。

これはとりも直さず、この地域の人たちが山の上に堰を築き、その水を大切に扱ってきたということである。下の沢の滝は、読者から教えてもらった滝だが、前編・後編でいくつかの太平洋岸の滝を取り上げたから、この滝を外すことはできない。

白浜地区は構造改善事業で、農業用水がパイプライン化され、この下の沢の堰は、予備的な位置づけという。非常時に使われるほか、防火用水の機能ももつ。これまでの役割を含めて、この耕地にとって大切な存在だったに違いない。

白浜の名刹・杖珠院は、かつては進入路が狭く乗用車では行き難い場所にあった。その後の農地の構造改選、グリーンラインの開通で、交通アクセスは格段に向上している。滝めぐりも楽しいが、里見氏の菩提寺を見て、その歴史にふれるのも楽しい。自然と歴史を組み合わせたハイクもまたいいものだ。

【写真説明】豪快に白く落水する下の沢の滝=南房総市白浜町白浜

【写真説明】滝の下流側には名刹・杖珠院がある=同

10年9月25日 7,664
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