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豪快に落ちる洲宮川の滝

[第16回] 洲宮川の滝 (すのみやがわのたき 館山市洲宮)

ゴルファーだけ見られる滝

高さ4b、幅6bほどの小さな滝だが、この滝の特徴はふたつある。ひとつはゴルフ場という一般人が立ち入ることのできない場所にあること。もうひとつは307年前の元禄大地震で海岸が隆起してできた滝ということ。滝といえば悠久の時間を感じるものだが、この滝は時代的にも新しい存在なのである。

冒頭に断っておくが、この滝を見たければ、ゴルフコースに出るしかない。ビジターでもメンバーでもいいが、ゴルファーとなってコースに出なければ見られないのである。ここの滝見はゴルファーの特典なのだ。

コースを管理運営するオーシャンヴェールリゾートの許可をもらって、滝見隊としてコースに入った。今回は一般の人は見られない滝。

高台にある館山グランドホテルの玄関から、広いゴルフ場を俯瞰(ふかん)気味に眺める。本当にこの平地に滝があるのか、という思いが浮かぶが、ちゃんと滝は存在するのだ。

平砂浦のフラワーライン沿いにある館山カントリークラブの東コース。5番ホール(357ヤード、パー4)のレギュラーティーの目の前を流れるのが洲宮川。館山市藤原に源を発し、平砂浦に注ぐ普通河川である。ゴルフ場はこの河川域を含めて設定されたので、東コース内を自然の川が流れているのだ。

5番ホールのバックティーからレギュラーティー方面へ歩く。目の前のケンチブロックの流れが洲宮川。この上流側に小さな面滝がある。手前に鉄骨でつくられた小さな橋(現在は使われていない)があり、この奥に滝が鎮座する。

ゴルフコースから見る洲宮川

両岸が切り立っていて、滝下には近寄り難い。取材日は雨が降っており、滝は豪快に白く落下している。左岸側の小さな崖を慎重に降りる。狭いが写真撮影をするスペースはあった。三脚を立てて、正面から滝に対峙する。小さいながら、広がって落ちる美滝だ。左側にダンチク、右にも樹木がかかっていて、滝全体は茂みの中というイメージだが、そばに寄って見ると、なかなか味わい深い滝である。雨量が多く雄雄しい流れになっているが、普段は女性的な優しい滝なのだろう。5番ティーから右に打ち込めば、この滝に直撃する。池ポチャならぬ滝ポチャである。

滝の下流側は両岸が切り立ち、地層の間に貝がらが見える。この滝は1703年の元禄地震によって形成された平野型の滝なのだ。地震で海岸が隆起、海底が陸化し、その上を洲宮川が流れた。滝といえば古代からそこにあったというのが一般的な通念だが、この滝は307年前の地震でできた滝なのだ。

滝の右側にゴルフボールを発見。やはりここに打ち込むゴルファーがいるのだ。時代的に新しく、ゴルファーしか見られない。房州寂名瀑にはそんな滝もある。

【写真説明】豪快に落ちる洲宮川の滝=館山市洲宮

【写真説明】ゴルフコースから見る洲宮川=同

10年10月9日 7,685
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