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水門の下を豪快に落ちる箱橋の滝

[第17回] 箱橋の滝 (はこばしのたき 館山市腰越)

江戸時代に遡る滝

南房総市富浦町深名の「ザーザンボ」(10月3日付)を取り上げた以上、この滝もリストアップしなければ不公平だろう。同じように農業用に川回ししてできた滝で、現役の取水施設もある。こちらも人工的な要素が強いが、歴史を江戸時代に遡る滝である。

滝川用水については、すでに大勢の郷土史家が研究している。万石騒動とも関係するだけに多くの研究成果があるのだ。

北条藩主・屋代氏の用人、川井藤左衛門が国分や高井方面の水田開発のためにつくったのが、滝川用水。広瀬から府中方面へ流れていた山名川を川回しし、この場所で取水した。国道128号沿いに用水は残り、現在もこの用水は現役だ。川井土手などの地名も残る。

滝川は2級河川・平久里川の支流で、箱橋のすぐ下にコンクリート製の6連取水ゲートがある。昭和32年に完成した歴史あるゲートだ。このゲートを下ろすと川は滝川堰となり、水は左岸の用水に流れる。水田かんがい時期のみ使用され、普段はゲートが上がっている。

どの滝もそうだが、滝を見るには下流側からアプローチする方が格段にいい。この滝はコンクリート堰がある分、上流側からは降りられない構造である。が、下流側も両岸が分厚い竹林で、滝見隊を阻む。水量が多ければ川へ近づくこともできない。今回は水の少ない日を見計らって川へ降りた。3回目の挑戦で、ようやく撮影できたのである。

左股支流のコンクリート護岸から川へ降りて、左に曲がった本流を注意して歩く。ごろた石もあって、非常に危険だ。慎重に歩みを進めて、滝下に出た。

昭和32年竣工の6連ゲート

大きな一枚岩が左手に鎮座。岩はその右を斜めに横切るように段差となり、ここに滝が落ちる。箱橋の上からでは想像できない眺めである。やはり滝見は下からがベストなのだ。

いく筋にも落ちる美滝である。岩は苔むしていて、人が立ち入った様子はない。滝自体の高さは5bほどで、幅は10bほどの面滝である。

上段の6連ゲートがなければ、純粋な滝として楽しめるが、ゲートをフレーム内に入れると、少々興ざめである。が、ここは江戸時代からの歴史ある取水場所なのだ。そのことを心に刻みたい。

箱橋とはその昔、箱状の木製堰枠をここに並べて取水した名残。堰枠に羽目板を差して貯水し、これを取水したのだ。枠の上には板が敷かれ、人々はこの上を歩いたという。誰がいうともなくこの構造の堰が箱橋となり、現在もこの場所をそう呼ぶ。コンクリート橋も箱橋。国道の交差点も箱橋。そして滝の名も箱橋の滝である。

危険な場所なので橋の上から見物しよう。

【写真説明】水門の下を豪快に落ちる箱橋の滝=館山市腰越

【写真説明】昭和32年竣工の6連ゲート=同

10年10月16日 7,364
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