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小さいながら雰囲気のある滝ノ谷不動の滝

[第19回] 滝ノ谷不動の滝(たきのやつふどうのたき 館山市竹原)

大きな堂宇に小さな滝

前編・後編を通じて大小の滝を紹介していると「よくこれだけ滝があるものですね」と言われることがある。同時に「どうやって調べるのか」という素朴な問いもある。多くは文献や伝承から滝を探るのであるが、時に地図からそれらしいと目星をつけることもある。

地図といっても国土地理院2万5000分の1図には滝記号がないのが、房州寂名瀑の常である。今回紹介する小滝は、住宅地図と地名から探った滝である。高さ3bほどのごく小さな流れだが、地図と地名からでも滝が検索できることを示す例として掲載したい。

館山市内でも畜産が盛んな竹原地区。南房総市三芳地区と同市丸山地区の境に位置する純農村地帯である。三芳地区との境に近い山間に、卍記号があり、滝ノ谷不動尊とある。近くには「滝の谷集会所」。地名と地形からして、滝があるのは間違いない。不動尊があるのも、滝の水音がしそうなムードだ。

川は2級河川・平久里川の支流、竹原川。九重地区の水田を潤す流れで、館山・三芳・丸山の三境の尾根筋に源を発する。竹原から御庄へ抜ける農免道路の途中を東に折れる。滝下まではコンクリート農道だが、狭いので歩く方がいいだろう。分岐地点に朽ちかけた看板がある。「千歳山不動尊入口」と読める。千歳山は同じ集落内にある遍照院の山号なので、不動尊はその末寺だろう。

右手に畜産施設を見て、そのままコンクリ道を歩くと、道の右側に小さな流れがある。谷筋の農地はすでに荒れ果て、雑草が茂っている。看板から5分ほどで、左側に小さな滝音が聞こえる。

滝の上にある不動堂

岩の正面に人工の竜頭があって、平常時は口から一条の流れが3bほど落ちる。写真は大雨の後なので、小さいながら豪快な滝となっていた。滝の左側に手すり付きのコンクリート階段があって、「昭和57年12月竣工」と刻んである。28年前に階段をコンクリート化したのだろう。

この階段を登ると、右に沢が流れる小谷となっていて、木の根や石段になる。最後の17段を上がった場所に、間口4間の大きな堂宇があった。住宅地図に記載があるくらいだから、建物はあるだろうと踏んでいたが、これほど立派な堂宇が山間にあるとは驚きだ。一対の常夜灯や手水鉢、石仏群、記念碑、厠(かわや)もある。最近はあまり訪れる人もいないのだろう。どこか寂しげだが、地元の信仰が篤いことが伝わる。

滝は小さいが、堂は大きい。不動明王を祀ったのであろうが、今回は堂の縁起などは確認できなかった。地元ではこの滝を「不動様の滝」と呼んでいる。

【写真説明】小さいながら雰囲気のある滝ノ谷不動の滝=館山市竹原

【写真説明】滝の上にある不動堂=同

10年10月30日 7,734
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