企画・エッセイ » 記事詳細
雄雄しく落下する太海不動滝

[第24回] 太海不動滝(ふとみふどうだき 鴨川市江見太夫崎)

くねって落下する美滝

道の駅の鴨川オーシャンパークの北側にある大きな滝である。国道128号を渡って「岩屋山波切不動入口」の看板にしたがって山へ入る。すぐにJRの線路があるが、踏切ではない。線路がカーブしていて、列車の確認も非常に難しい。滝見の際は十分注意して横断してほしい。非踏切での線路横断なので、くれぐれも気をつけて。

コンクリート参道が階段となって、奥へ伸びる。右手に石仏が一列に並ぶ勇壮な眺め。その先に本堂があり、さらにその先が岩肌になっていて、一段下がった場所に岩を穿った岩屋がある。これが不動明王を祀った宮だ。

この岩屋の左手に落下する滝が太海不動滝。ここからの眺めもなかなかだが、本連載の基本は「滝下から眺める」こと。滝は見上げることによって、圧倒的なその存在感を増すのだ。

岩屋の反対側に川へ下りる道がある。その先はやぶだが深くはないので、注意して川底へ下りる。岩は苔むしていて滑りやすい。トヨ状の細い流れだが、ストックを刺すとかなり深い。房州の滝を侮ってはならない。安全に歩を進め、滝下へ出る。

滝の上にある岩屋

姿が特徴的な滝である。

滝上からの水はまず垂直に落下。その水は岩肌を伝わり左にカーブを描く。中ほどの滝つぼにいったん落ち、再び垂直に落下する。水は左手へトヨ状に流れ、ナメ滝となって川へ注ぐ。不動明王の憤怒の表情で、雄雄しく落下する滝だ。取材日は雨上がりで、豪快で美しい姿だった。雨上がりでなくてもそれなりに観賞できる滝である。総落差は20bほど。

滝の美を何に求めるかは、観賞者それぞれによって違うだろう。線状に垂直落下する滝も美しいし、ここの滝のようにくねって落下する滝もまた美し、だ。

不動明王信仰に基づく滝は、全国にも多い。したがって滝の名も不動滝となることも。房州にも不動滝は数あるが、太海のそれは、右に出るものがないほどの雄姿である。信仰の場であることを忘れず、この美滝を観賞したいものである。

崖を下るのは危険だ。岩屋からも十分、その雄姿は楽しめる。

滝は天面の山塊を源流とする名馬川の下流域にある。川は大きくはないが、滝は大きい。房州の自然は偉大だ。

【写真説明】雄雄しく落下する太海不動滝=鴨川市江見太夫崎

【写真説明】滝の上にある岩屋=同

10年12月4日 9,668
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved