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袋倉第1ダムに落ちる大津滝

[第37回] 大津滝 (鴨川市東町)

ダムに落ちる屏風の滝

袋倉川セーナ沢の滝紹介は、前回で終わり。が、この川は複雑な水系とともに、いくつもの滝がある。今回は袋倉第1ダムの上流にある滝である。

袋倉の集落が終わると、道は林道のような未舗装になる。ダムまでは市道だが、崩落や路面の荒れがひどいので、その点を理解したうえで、近づかれたい。乗用車では無理がある。

第1ダムを右に見て、さらに林道をつめる。林道終点にトンネルがあり、これをくぐれば上流の第2ダムだが、滝はこのトンネル手前にある。

林道終点は少し広くなっていて、川側に小さな平地がある。この段階で、滝の落下音が聞こえてくるので、この下に滝があることが分かる。が、滝までは決して平坦ではない。ダムの上流という位置関係に加え、接近危険滝の部類であることは間違いない。

杉林の中を慎重に斜面を下っていく。ダム湖面まで降りると、左手に黒い岩が広がる。これが大津滝である。

岩盤の大津滝上流部

滑落すれば、ダム湖に落ちる。危険なので慎重の上にも慎重に歩く。湖面ぎりぎりまで降りてカメラを構えるが、立木が邪魔になって写せない。同行の川崎勝丸さんがザイルを渡してくれたので、これにつかまって、立木に登って、滝に近づく。危険この上ないので素人は近寄らない方がいいだろう。

滝下部は一枚岩の屏風のようになっていて、ここにすだれのように水が落ちる。すでに1か月ほども雨らしい雨がない時期の取材だったが、水量は豊富であった。この辺が、清澄山系の底力であろう。

すだれの高さは5bほど。幅は10bはあろうか。正面の岩がくぼんでいるのが特徴的である。湾曲部分の右手にも水は流れ、壮観な眺めである。

すだれの上部は緩い流れになっていて、一枚岩が続く。岩の表面は黒光りしていて、実に神秘的である。

この連載では、滝のサイズを明確にするため、基本的に滝と人を一緒に撮影しているが、ダム湖面に落ちる滝なので、今回は人なしでの撮影となった。

右岸の崖を滝上に出ると、トラロープが渡してあった。ベテランハイカーの配慮だろうか。このロープに伝わって滝上に出てみる。一枚岩の上を歩き、滝の上部に出る。滝はこの緩斜面で扇型に広がり、すだれとなってダム湖に落ちる構造である。

清涼な水の流れを五感で感じる。袋倉第1ダムに潜む秘滝である。

ダム湖畔にため池の石碑があり、「東條村東部耕地整備組合」の文字が読める。大正8年着工、12年竣工の文字も。滝の下半分はダムに沈んだが、大正からの人の営みゆえである。文句はいえまい。

【写真説明】袋倉第1ダムに落ちる大津滝=鴨川市東町

【写真説明】岩盤の大津滝上流部=同

11年3月5日 7,949
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