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別荘側の本流に落ちる小さな滝

[第38回] クモの滝探索(鴨川市東町)

崩落の支流に消えた滝

蜘蛛(くも)滝は、上待崎川上流の保台ダムに沈んだ滝の名である。この水没滝とは別に、袋倉川西股の支流に「クモの滝」があるという。取材陣はこの滝の探索に出た。

結論から先に述べよう。沢筋にそれらしい岩崖があったが、大規模な崩落で崖そのものが消滅してしまっている。地図にない沢を最後まで遡ったが、小規模な滝の連続があっただけで、クモの滝は確定できなかった。

地元の人の話を総合すると、5つ目のトンネルを出た右側に、別荘がある。この別荘へ折れる道に橋が架かり、枝沢が本流に流れ込む。この枝沢の途中にクモの滝があるという。

市道を降りると、枝沢にそって踏み跡が続く。枝沢はここでトンネルになって市道をくぐる。沢は上流に向かって小さなカーブを繰り返しながら伸びていく。

沢の右岸に、人工的な用水のU字溝がある。このU字溝がしばらく沢に沿って設置されている。ルートは岩を穿ってトンネルになっている場所もある。歴史ある農業用水で、袋倉ダムがつくられた当時から使われているという。ミニ万里の長城≠ニいった趣である。よくぞ、この沢筋にこれだけの用水を築いたものだ。

入渓から20分で、鋼鉄の用水路が沢を横断している場所になる。ここまで屏風岩のような崖がいくつもあったが、滝らしい流れはなかった。

中流域の崩落跡

入渓30分で、沢筋が途切れる場所に出た。大きな杉が3本ほど倒れ、かなりの土砂が沢を埋めている。流れはここで終わっている。右岸側崖を見ると、はるか上から傾斜の強い崖が続く。おそらくこの崖の左右の土砂が崩落して沢を埋めたのだろう。崩落がなかったら、ここが立派な滝だったに違いない。

ここで沢が終わったかと思えばさにあらず。大きめの釜の上流側に人工の穴がある。この穴から水が流れてくるので、さらに上に続くいていることが分かる。

穴の上を高巻きにして登る。すると再び立派な沢が現れるのであった。古い時代に大きな崩落があって、人工の川回しが行われたに違いない。

この隠れ沢≠遡上する。日照り続きなのにちゃんと水量がある。途中に小滝が2つあったが、これがクモの滝ではあるまい。

上流域の涸れ沢

1時間ほど沢を歩いたところで、川は終わる。打ちひしがれて、元来た沢を戻る。

入渓地点の市道へ戻ると、別荘側の本流に落ちる小さな3段の滝があった。市道をトンネルで抜けた沢は、この橋の上流側で3段に落ちていく。中段には直径1・2bほどの釜があって、緩やかに落ちていた。

小さな滝はあったもの、本命のクモの滝は分からずじまい。あの崩落がそうであったのなら、残念なことである。

この沢にあるクモの滝を知る人がいたら、教えてほしいと思う。

【写真説明】別荘側の本流に落ちる小さな滝=鴨川市東町

【写真説明】中流域の崩落跡=同

【写真説明】上流域の涸れ沢=同

11年3月12日 7,261
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