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二股になって落ちるさんさの滝

[第39回] さんさの滝(鴨川市東町)

清冽な東股に秘める滝

滝の宝庫・袋倉川もいよいよ東股の流れに移ろう。二級河川のこの川は人家のある西股に2つのダムを抱え、人家のない東股は清冽(せいれつ)な流れが続く。鴨川市浜荻で二タ間川と合わさり、太平洋に注ぐ。複雑な水系構成だけに、滝も多岐にわたるのである。

国道128号から、廃棄物処分場を見て、北側へ林道浜荻線に入る。左に市清掃センターを見て進むと、左に長狭火葬場が出る。この辺から先が県管理の林道となる。フラットだが上り勾配のダートは、しばらく袋倉川東股と林道が平行して走る。

沢音に耳を傾けると、林道下からそれらしい音がする。滝音を聞いて川に下りれば、正面に落差3bの小滝があった。これは料理でいえば、この沢の前菜といった感じだろう。

さらに林道を進むが、川底は比較的フラットで、滝が生まれるような落差はなかった。音に注意しながら歩くと、大きな崩落があったであろう場所で工事中だった。林道崖側からパイプで川へ落ちる流れがあって、ここから滝音が聞こえた。

慎重に川に近づくと、果たしてそこに大きな滝があった。滝上は岩盤だが、ガレ場のような小石も散らばる。滝面そのものが、崩落しやすい岩で、ここから二股になって落水する。右岸側が細い流れだが、左岸側が太い流れで、中段から合わせての落下になる。水は滝の中ほどでひとつに合わさり、大きめな滝つぼに落ちる。落差は10bほどだろうか。

さんさの滝下流にある小滝

この滝の上も下もフラットな川底なのに、ここに立派な滝がある。実に不思議な河川である。

鴨川市に住む農林業、高橋力太郎さん(64)によれば、これが通称さんさの滝で、いわれは不明だ。

本連載では、滝下に降りて人物を写しこむアングルでカメラを構えるのを基本としているが、この下流側には降りる手立てがなさそうだった。無理して降りればいいのだろうが、さらに上流にもうひとつ滝がある。夕刻も迫りる。袋倉の山中で、滝見隊はやむなく上からの撮影にとどまった。

さらに上流へ進むために。料理でいえば、メーンディッシュが待つのだ。

【写真説明】二股になって落ちるさんさの滝=鴨川市東町

【写真説明】さんさの滝下流にある小滝=同

11年3月19日 7,435
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