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涸れたナメ滝の様相の田がしらの滝

[第41回] 田がしらの滝・尊房が滝(鴨川市仲町)

温泉上の小さな秘滝

清流・袋倉川の滝を連続で紹介している中、鴨川市の読者から新たな情報が寄せられた。同市曽呂地区に隠れた滝がふたつあるという。封書にそのいわれや略図まで書かれている。これはぜひとも探索しなければならない。雨降りを待って、県道鴨川富山線沿線から山へ入った。

情報によると、滝は県内最古の温泉ともいわれる、曽呂温泉近くにある。同封された略図には、庚申塚や大日如来の石碑まで示されている。

県道の曽呂温泉バス停の路肩にクルマを止め、尊房橋を渡って、温泉方面へ。温泉と分かれる変則交差点の右側に屋根付きの祠がある。享保6年の銘のある庚申塚である。

ここで地元の女性に会い、滝の概略を教えてもらう。女性はわざわざ原付バイクで我ら滝見隊を案内してくれた。坂の中腹で左の沢方面に下りる道がある。沢へぶつかるとそのまま沢筋に沿って泥の道が続く。この途中左手に落ちるのが、尊房が滝、さらに上流にあるのが、田がしらの滝という。

沢は数年前の砂防工事で、概ね開渠(きょ)に変わってしまった。所々にコンクリート製の溜めますが設置され、人工的な要素が強い。開渠が終わると、やっと岩盤の沢になる。ここで沢に下りて歩くが、すぐに沢の正面に蛇かごが出て、ここから絞り水が流れ落ちている。あれれ、と思うが本流は左手に折れていて、ここに幅3b、高さ5bほどのナメ滝があった。これが田がしらの滝であろう。

変則交差点にある庚申塚

滝の撮影を終えて、蛇かごをよじ登る。土手上に出ると道が滝に沿って上へ続く。滝の上流側に並行する形で小径があるが、やがて沢は涸れてしまった。

来た道を歩いて、沢沿いに下る。ここで地元農家の水野正行さん(73)に話を聞くことができた。数年前の沢の工事で、尊房が滝の沢筋が変化してしまった。左股の位置に落ちた滝があったが、いまは岩肌だけである。沢の左岸一帯は、かつては水田地帯で、田がしらはその上流という意味(田頭だろう)の地名だ。砂防工事によって流れが変わり、小さな滝のうち、ひとつは涸れてしまったようだ。

この沢の上流には「牛が池」という溜め池があり、その昔、僧侶が牛を連れて行ったところ、底なし沼にはまり、牛が死んでしまった。現在では地元の人も近寄らなくなり、周囲はやぶだらけという。

尊房は仲町の小字。温泉がある周囲一帯を指す。尊房川は2級河川・曽呂川の支流で、県道近くで本流に注いでいる。

【写真説明】涸れたナメ滝の様相の田がしらの滝=鴨川市仲町

【写真説明変則交差点にある庚申塚=同

11年4月2日 24,777
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