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増水すればだるまに見えるという

[第48回] だるまの滝(鴨川市内浦)

ヤマビル地帯に潜む滝

うわさに聞く、ヤマビル出没地帯。豊かな森林が残る清澄から内浦にかけては、野生のシカが棲み、それに寄生するヤマビルがいる。冬場は比較的被害はないが、初夏から晩秋にかけて、小さな吸血鬼は活動を強める。鴨川市の北部、東部の一帯の山は、4月中旬が入山の限界という。それ以降は、この吸血鬼の被害を承知で山へ行かなければならない。

取材日は4月下旬。朝から雨模様で昼からは本降りとなった。この微妙な時期に合羽を着込んで山へ入った。

内浦山県民の森から林道を進む。第2キャンプ場を左に見て、右に分け入る。正面に場所に不釣合いのような茶室がある。茶室を右に見て、森を進む。このルートが遊歩道Aコース(せせらぎコース)である。

せせらぎと呼ぶだけあって、小さな沢と一緒に歩く楽しいコースである。小さな沢を何度か渡河するが、水量が少ないので、危険性は少ない。炭焼き小屋の跡や見本林、木道があったりして、なかなか風情のあるコースだが、Aコースを一周するにはかなりの傾斜のある道を歩くことになるので、滝見の人はUターンするのが無難だ。滝見隊は雨中にコースを一周してしまい、かなり体力を消耗してしまった。

沢の中には特徴的な穴がある。ポットホール(甌穴=おうけつ)と呼ぶ。硬い石が流れで転がり、それより柔らかい岩盤を掘る。長い年月を経て、穴は大きくなっていく。滝の存在に似て、自然の造形は面白い。

だるまの滝上流の渓谷

茶室から0・6`ほどさかのぼると、二股の分岐があって、ここを右にとって歩く。正面に現れる小さな滝がだるまの滝である。

高さは5bほどか。上流はV字谷になっていて、末広がりのように広がって流れ落ちる。中段が硬い岩になっていて、この姿がどこかだるまに似ている。それゆえの命名か。もっと水量が多いと、だるまの姿になるという。県民の森でくれた案内図にも、だるまの滝の名称で紹介されている。水系は清流で名高い、大風沢川である。

だるまの滝までのAコース前半は、流れの少ない沢を歩くコース。滑りにくい靴を用意すれば、滝までは比較的楽だろう。

滝見隊はこのままコースを進んだ。中間地点からは急傾斜を登る、登山コースになる。気軽なハイキングではない。Aコースをすべて歩こうという猛者は、きちんとした服装と心構えが必要なのだ。

Aコースをぐるりと回って林道奥谷線に出る。かっぱを着込んで雨中を歩く。ヤマビルの恐怖におびえながら。

【写真説明】増水すればだるまに見えるという=鴨川市内浦

【写真説明】だるまの滝上流の渓谷=同

11年5月21日 25,719
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