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いよいよ木の根隧道へ=南房総市高崎

[第7回]木ノ根から

高崎のテニスコートの角で休憩。ここには天然の湧き水があって、一般に開放されている。ここで昼食となった。午後零時30分。出発からちょうど4時間、全行程の半分だろうか。

30分ほどで出発。木ノ根峠は、房州を代表する峠道。文人墨客も歩いたし、歴史上の人物も頂上から岩井の眺めを楽しんだ場所である。

記録では漱石は、保田に10日間滞在後、北条・館山方面へ向ったという。現在の国道127号はまだない。明治18年に開削された木ノ根林道を通ったというのが一般的な考え方である。だから、今回の大歩行も、この木ノ根林道を歩く。

国土地理院の水準点=南房総市富浦町丹生

歩くのを楽しむのなら、このトンネル上にある峠道を選びたいところだが、史実に従うなら、やはり林道である。

道はテニスコートから、ぐんぐん上りになる。今回のコースで唯一の急な上りだ。路傍に咲くタマアジサイの花を見ながら、上り道を行く。

富浦へ抜ける道とあって、幅員は狭いが、クルマの通行は多い。注意しながら道の端を歩く。木の根隧道(ずいどう)は坑内照明もなく、真っ暗である。ここを無灯火のクルマが通れば、間違いなくひかれるはずだ。何人かが懐中電灯を出して、歩行者がいることをアピールする。

坑内はヒヤッとして、汗をかいた頬にうれしい。すっと汗が引いていく感じだ。天然のクーラーの中を歩く。

トンネルを出ると、左手に林道原田山線の分岐があって、その先は富津館山道路と並行する。左手に丹生の堰を過ぎると、右側に標高53・8bの国土地理院水準点がある。峠からはずんずん下っている。

右手土手下にあるのが、平川地蔵。かつては木ノ根峠越えをする旅人が、旅の安全を祈願した場所という。土手下にあるせいか、現在は信仰に訪れる人もない。

やがて丹生の集落になる。道幅が広くなった場所から右手に入ると、一段高い場所に廣田神社がある。地域の鎮守である。この道を下って、工事中の広域農道交差点に出る。ここで小休止をとった。間もなく深名の集落である。

(つづく)

【写真説明】いよいよ木の根隧道へ=南房総市高崎

【写真説明】国土地理院の水準点=南房総市富浦町丹生

09年10月5日 22,851
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