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ゆらゆらと揺れる吊り橋を渡る

[第10回] 四郎治へ

素掘りトンネルの連続

川の両岸からワイヤーロープで吊られた橋には、木の板が張ってある。川底から比較的近いが、吊り橋なのには変わりはない。揺れる橋の上をそっと歩く。「ほれ、ゆうらゆら〜」。

橋を渡った先が土の道で、ここをしばらく行くと、ここにも東大演習林の看板。二股の道で、右に上がれば川台への道。われわれは直進気味に左へ進む。Mラインである。

左下は上人沢で、その沢に沿って道が続く。ここから落ちれば真っ逆さまに沢である。それなりの広さはあるが、自己責任で慎重に歩を進める。

この上人沢の上で正午になったので、昼食にする。南向きの斜面で握り飯をほお張る。平地では西風が強いが、この沢上の尾根は陽だまりになっていて、ぽかぽかと暖かい。冷気で冷えた握り飯も、陽だまりでは春の味がするものだ。

小休止後、出発。

この先はずっと左に沢を見て歩くルートである。2か所の切り割りを過ぎると、最初のトンネルになる。この沢上の道にトンネルがあること自体が驚きだが、川崎さんは「この先、トンネルの連続です」という。

入り口、出口ともに崩落してしまった長めのトンネル内を歩く。仮に1号トンネルと呼ぼう。真っ暗で心もとないが、坑内は平坦で、出口の明かりを頼りに歩く。

1号トンネルを出た先が、牛道との合流地点。右に進めば四郎治沢へ続くが、今回は直進する。

山中には珍しい素掘りのトンネル

10分ほどで、2号トンネル出現。10分歩くと3号トンネル。5分で4号トンネルとなった。素掘りのトンネルの連続する楽しい道である。

湯ヶ滝歩道の合流点を過ぎると、ここが赤井沢の峰。ここから尾根筋が変わって、左が山、右下が沢となる。沢は四郎治沢である。落ち葉の積もる楽しい道を歩くが、崖が崩落している場所もあり、慎重に進む。ミスをすれば、谷底に真っ逆さまである。

尾根筋から遠く大福山が見える。初日の久留里からの尾根筋にある頂である。2日目でずいぶん南へ来たものだと実感する。

やがて山椒沢分岐を過ぎると、5号トンネルになる。なぜこの山道に5つもトンネルが連続するのか、不思議である。

吊り橋から2時間で、四郎治の峰へ到着する。ここで素敵な山道は終わり、四郎治から南は、最近開削された林道になる。

(つづく)

【写真説明】ゆらゆらと揺れる吊り橋を渡る

【写真説明】山中には珍しい素掘りのトンネル

10年4月10日 8,349
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