企画・エッセイ » 記事詳細
トラロープを頼りに下りる

[第18回] 鴨川有料道路へ

足跡手繰りルート挽回

支尾根に出合うと、ビニールテープを探す。前登者がルートを残していてくれるのだ。郡界尾根を楽しむハイカーも少なくない。きちんとした標識は少ないが、こうした前登者の足跡を手繰って進んでいく。

慎重な川崎さんが、何度もルート確認しながら、歩を進める。いくつものアップダウンがあり、いくつものこぶを越えていく。「郡界尾根を往く」連載で、香木原峠から元清澄までが無数のこぶがあると書いた記憶がよみがえる。こぶの連続は鋸山の比ではないという記事を思い出した。やはり甘くはないルートなのだ。

入山から2時間半。杉の木に赤布が巻かれた場所を左に折れる。その先の妙見山が眺められる尾根で、昼食となった。女性2人を含む4人が、雄大な景色を眺めながら握り飯を食べる。季節風は冷たく、手もかじかみそうだ。女性陣はベテランで、県外への山行も少なくない。その内の1人が「房総でこれだけ深い山があるなら、遠征しなくてもいいですね」という。千葉に山はないというのは「標高の高い山がない」という意味で、深くて楽しい山はいくらでもあるのだ。

体が冷えないようにと、食後のコーヒーを飲んで早々に出発。ザックは軽くなり、体も充実。さあ、いくぞ郡界尾根。

鴨川有料の旧道に出る

複雑な分岐を正確に越えていくと、下からかすかにクルマの音が聞こえてくる。間もなく鴨川有料道路なのだ。

露岩の下りを慎重に下りていく。山仲間によってトラロープが張られているので助かる。落ち葉に滑りながらも、鴨川有料の旧道に出た。本来ならば3日目のゴール地点である。午後12時45分。半日ほどずれてしまったが、分水嶺歩きは順調である。

道路西側に設けられたパーキングのテーブルに座って、ひと心地。これから歩く郡界尾根がそびえる。高圧送電線の鉄塔も見える。ひざ関節や足先が痛いが、なんのこれしき、だ。

12時55分。小町峰峠へ向けて、4人はアスファルトを歩き出した。

(つづき)

【写真説明】トラロープを頼りに下りる

【写真説明】鴨川有料の旧道に出る

10年4月20日 6,854
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved