企画・エッセイ » 記事詳細
法面に階段がある。ここを登る

[第19回]香木原峠へ

歴史ある峠を越えて

鴨川有料道路は、昭和41年に開通した道路である。かつてはもう少し高い場所を走っていたが、その後、大規模改修が行われ、安房・上総間の郡界尾根を大きく開削して、現在のようなスタイルにした。この大切割の東側にはいまも旧道の路面が残り、古いトンネルの跡もある。

郡界尾根を分断した路線で、ハイカーはここで尾根がなくなることに気づく。

尾根上の赤道は階段になって法面に設けられている。一般が入れないように、施錠されているが、今回はこの鉄扉を乗り越えて、階段を歩く。

非常に急な階段で、湿っているので注意して登る。小さな沢を経て、やがて尾根道へ。

ここからもアップダウンの連続するラクダのこぶが続くが、これを越えなくては小町峰峠はない。

右下に香木原のゴルフ場が見える。枯れた芝生が広がっている。冬の平日である。プレーする人も少ないのだろう。

大きな切割の香木原峠

暑くなってきて、上着を脱ぐ。朝は0度だったのに、これだけこぶの上を歩くと汗ばむのである。

山神社の石宮が出る。房州側の集落の人たちが信心しているのだろう。周囲は草も刈られて、管理がしっかりしている。この山神社から、北側の郡界尾根のこぶが良く見える。いくつも連続する、あのラクダのこぶを歩いてここまで来たのだと思うと、感慨も深い。

ウラジロが群生する「ウラジロの海」を過ぎると、南側の絶景が広がる場所になる。このルートでは数少ないビューポイントである。

もういくつこぶを越えたのかも分からない。難路を歩いてようやく香木原林道に出る。君津市香木原と鴨川市太田学を結ぶ峠の古道である。古道といっても鴨川有料道路ができるまでは、この香木原林道をクルマが通ったという。それ以前は炭焼きの製品を運ぶため、荷車がここを往来した。

それだけに切割も大きい。鴨川有料道路の比ではないが、人力でこれだけの峠を切り開くのは、さぞ難儀だっただろう。林道を通って、房州側に出る。妙見山を筆頭に、天津小湊地区の山々が良く見える。「郡界尾根を往く」取材からもう2年。あのときの苦労を思い出しながら、林道からの眺めを楽しんだ。

開削された崖を四肢を使ってよじ登る。難関である。立木につかまりながら上へ。今度は小町峰峠だ。

(つづく)

【写真説明】法面に階段がある。ここを登る

【写真説明】大きな切割の香木原峠

10年4月21日 6,940
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved