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ルンルン気分で雨上がりの林道を行く

[第21回]小町峰峠の旧道へ

5日目はロング尾根へ

長い長い分水嶺歩きも、5日目。まだ君津・鴨川境の郡界尾根の半ばである。朝、待ち合わせ場所で川崎勝丸さんがいつものように地図を広げる。A3を横にして2枚つなぎ合わせた特製地図である。尾根筋にラインマーカーが引いていある。これまでのルートの2日分はゆうにある。

記者(忍足)「えっ、これをきょう歩くんですか」

勝丸さん「そうです」

そうですって、いかにも長い。4日目の移動距離から比べれば、2倍半はあろう。不安混じりながら、出発地へクルマを進める。

長狭街道の吉尾小学校手前を郡界尾根方面に折れる。尾根の取り付きにあるのが、鴨川市清掃センターである。センターの手前から尾根に延びるのが、林道柚ノ木線。路肩の迷惑にならない場所にクルマをとめて、林道歩きが始まる。

管理の行き届いた林道で、道は標高を徐々に上げながら、郡界尾根を目指している。森には前日の雨の湿り気が残っていて、冬だというのに乾燥感はない。この林道ならルンルン気分である。

遥かに見える東電の鉄塔60号

10分ほどで林道の分岐。右の橋を行けば香木原峠、直進気味に左へ進めば、小町峰峠である。

林道を左に進むと、時折、コンクリート路面が出る。崩落でもあって工事したのだろう。比較的新しい開削崖の地層が美しい。林道の右下は沢筋で、加茂川の源流部である。

コンクリ林道で小休止。着衣調節をして、さらに先を目指す。

林道の峠部分を過ぎたあたりから、左手に大きな山容が現れる。郡界尾根で最高峰の安房高山(標高364・9b)である。長狭街道から見る安房高山はそれほどではないが、こうして近寄って眺める姿はさすが、安房の高山であると感じる。

林道右手は小高くなっていて、ここに旧道が残る。

スタートから1時間15分で、既視感のある林道の風景になった。ここが前回歩いた場所で、小町峰峠から南に下った場所である。尾根歩きなのに、川崎さんがわざわざこの地点まで足を伸ばしてUターンした理由が分かった。分水嶺歩きを一筆書きするためには、ここが合流点なのだ。次の日に小町峰峠まで歩くのは難儀だ。前回に合流点まで足跡を残しておく。これが川崎流のルート取りなのだ、とベテランの先見の明に感心した。

林道はやがて下って、また上る。2年前の「郡界尾根を往く」取材では、この地点を西から東に歩いている。今回はその逆である。既視感が感覚を呼び覚ます。崖面に鉄のステップが切ってある場所を過ぎる。このステップを登れば、小町峰峠への古道である。

そのまま右カーブを過ぎると、遥か東に、東京電力の鉄塔60号が見える。前回はあの下を歩いたのである。

(つづく)

【写真説明】ルンルン気分で雨上がりの林道を行く

【写真説明】遥かに見える東電の鉄塔60号

10年4月23日 7,483
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