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安房高山がよく見える林道

[第22回] 請雨山へ

低名山並ぶ魅惑の尾根

川崎さんが異常に長いルート設定した理由が、この辺で判明する。この日は一部を除いて林道歩きなのである。こぶも少なく、足元がいいので距離が稼げるのだ。さすがは大ベテランの読みである。

林道カーブを曲がると、開削崖が続く場所に出る。この林道を拡幅した際の工事跡なのだろう。広く高い崖が続く道で、この崖が長狭街道からもよく見える。

正面に、安房高山がよく見える場所になる。高山ビューポイントである。緩やかに下る支尾根は、巨木の観音桜で有名な観音台。里山の風景も美しい長狭平野が横長に広がり、正面には女性が横たうような嶺岡山系が座る。気宇壮大な場所である。

足元を見ると、細いながら落差のあるナメ滝がある。惜しむらくはこの上が川でないことだろう。雨上がりでうっすらと流れがあったが、滝というほどの規模ではない。尾根に大雨が降れば、ここに滝が発生し、その水は加茂川となって太平洋に注ぐ。ここが分水嶺であることを強く実感できる場所だ。

スタートから1時間40分で、林道奥米線との合流地点になる。この合流点に平成5年につくられた「木魂の森」の看板がある。合流の丁字路を右に進めば、広大な面積を誇る清和県民の森へ続く。木魂の森は、県と県木材組合連合会が独自に植栽した森である。

請雨山の鳥居前からの長狭平野の眺め

丁字路を左に折れる。ここからは一部がアスファルトになっていて、都市部を散歩しているような錯覚に陥る。

長いだらだら上りを歩く。時折、北側に大きな鹿野山の姿も見える。

丁字路から15分で、安房高山への分岐の三叉路。直進気味に右に進めば、国道410号へ出る。左は安房高山の腹を巻くような林道である。

三叉路から10分で、安房高山の登り口になる。馬頭観音の大きな石宮があり、ていねいな看板もある。馬頭観音の左手のコンクリ道を上がれば安房高山だが、きょうは行かない。なにしろ、分水嶺歩きなのだ。

安房高山登山口から10分で、請雨山登山口になる。鴨川・君津境の郡界尾根には、東から安房高山、請雨山、三郡山と房州低名山が並ぶ。山屋にはたまらなく魅力的な尾根なのだ。

請雨山への取り付きはやさしい道である。やがて階段となり、左側の崖面には転落防止のガードもある。10分で山頂に到着。新しくなった「愛宕神社」の鳥居が出迎えてくれる。その先の石段を登れば、大きな石宮が2つ並び、その奥には奥の宮もある。神社の杜は長狭の里を見下ろすように、標高322bのこの山頂にたたずんでいる。

鳥居の広場まで下りて、昼食をとる。正面に県内最高峰の嶺岡愛宕山が座り、その左には平塚山、熊捕山、高鶴山。主峰の右には二ツ山、伊予ヶ岳、富山、人骨山、津森山と安房の山々が並ぶ。こんな場所での昼食は、味以上の味を感じるものだ。

(つづく)

【写真説明】安房高山がよく見える林道

【写真説明】請雨山の鳥居前からの長狭平野の眺め

10年4月24日 7,966
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