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三郡山の東側の取り付きの急登

[第23回]三郡山へ

新しい山名標識が出迎え

暖かい日差しの中での昼食を終え、出発。鳥居の西側の階段を慎重に下りる。しばらく進むとフラットな土の道で、あちこちに市の境界杭が埋められている。

林道に下りて、右カーブになった場所に、馬頭観音と大日如来の石が出る。ここも信仰の場所で、宮の前はきれいに草が刈られている。地元の人たちの奉仕なのであろう。大切な石宮が粗末に扱われていないのは、うれしいものだ。

請雨山から30分で、三郡山(標高337b)の取り付きになる。この山の東側からのルートは、植林された杉があって登りにくい。大きく育った杉をかき分け、細い尾根筋を上る。居酒屋の縄のれんを開くように、四方に広がった杉の枝を開いて上を目指す。急登の尾根で後ろを振り返ると、長狭富士の美しい姿が見える。

取り付きから10分で山頂に出る。かつては山名標識も朽ち果てていたが、「山湯会」によって立てられた三郡山の新しい標柱があった。山頂看板が粗末に扱われていないのは、うれしいものだ。

山名標識が新しくなっていた

山名は長狭郡(鴨川市)、天羽郡(富津市)、周准郡(君津市)の3郡の境であることからだ。全国に「三国山」や「三国峠」があるのと同じように、房州では「三郡」山なのだ。

北側の支尾根へ出て、上総側の眺めを楽しむ。遥か北に東京湾観音の姿が確認できる。山肌が削られた鬼泪山も見える。上総の山々は低いながらも美しい。

目を南に転ずると、遠く西に鋸山、その手前右に嵯峨山が見える。この冬は水仙の芳香を求めて、多くのハイカーが足を運んだことだろう。

嵯峨山の左には宇藤木大山、その左に津森山が見える。次回はあの津森の尾根を登るのである。

三郡山を下山して、林道へ戻る。しばらく行くと、軽トラックの男性に出会う。聞けば間もなく行うシカ猟の下見だそうだ。イノシシ、シカの有害鳥獣の被害は著しい。箱わな、くくりわな、猟銃など、地元の人はあらゆる手段で駆除を目指すが、増殖する野獣のほうが多いのだろう。この林道にも偶蹄目特有の足跡があった。シカは悠然とこの道を歩いているのだ。

男性と話をしていると、三郡山を「みくりやま」と発音している。「みこおり」ではいかにも言いにくいのだろう。みくりやまのほうが、すんなりと耳に届く。やはり記者も房州人なのだ。

(つづく)

【写真説明】三郡山の東側の取り付きの急登

【写真説明】山名標識が新しくなっていた

10年4月26日 6,998
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